- 日本版序文 「財政赤字」こそ、コロナショックを脱する唯一の道である
- 序章 バンパーステッカーの衝撃
- 第1章 家計と比べない
- 第2章 インフレに注目せよ
- 第3章 国家の債務(という虚像)
- 第4章 あちらの赤字はこちらの黒字
- 第5章 貿易の「勝者」
- 第6章 公的給付を受ける権利
- 第7章 本当に解決すべき「赤字」
- 第8章 すべての国民のための経済を実現する
事実 |
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仮説 |
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提言 |
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日本版序文 「財政赤字」こそ、コロナショックを脱する唯一の道である
序章 バンパーステッカーの衝撃
MMT | あらゆる政府支出をまかなうのは納税者ではなく、 通貨の発行体、すなわち政府自身である。 |
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制約 |
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- 税金が政府支出の財源であるという考えは幻想。
神話 | 政府の収支は家計と同じように考えるべきだ。 |
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財政赤字は支出過剰の表れだ。 | |
財政赤字は将来世代の負担である。 | |
財政赤字は民間投資のクラウディングアウトにつながり、長期成長を損なう。 | |
財政赤字によってアメリカの諸外国への依存度が高まる。 | |
政府の給付金制度が長期的に財政危機を招く。 |
- 私たちが自らを縛っている神話を克服し、 財政赤字は本当は経済にとって好ましいものであることを受け入れれば、 国民のニーズと公共の利益を優先する財政政策を追求することができる。
第1章 家計と比べない
神話1 | 政府は家計と同じように収支を管理しなければならない。 |
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現実 | 家計と異なり、政府は自らが使う通貨の発行体である。 |
- 通貨主権を持つことは、その国が財源の心配をせず、 国民の安全と幸福を最優先できることを意味する。
× | 税金 + 借金 ⇒ 支出 |
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〇 | 支出 ⇒ 税金 + 借金 |
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みなさんの税金は少なくとも国家レベルでは、何の支出にも使われていない。
政府は「私たちの」お金など必要としていない。
逆に私たちが「政府の」お金を必要としている。 -
納税者が政府に資金を提供するのではない。
政府が納税者に資金を提供するのである。
税金の目的
- × 資金調達。
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〇 通貨への需要を生み出すこと。
- 税金をその通貨で支払うことを義務付けることにより、 本来無価値の紙切れに価値を付与する。
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〇 国民を働かせ、政府が必要とするものを生産させる。
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政府が必要とするもの・・・軍隊、司法制度、公共の公園、病院、道路、橋、…
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× 物々交換から生じる非効率を克服する手段として貨幣が発明された。
- 物々交換を土台とした社会が存在していたというエビデンスはない。
表券主義(chartalism)
- MMTは表券主義に依拠する。
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表券主義(ひょうけんしゅぎ)とは、
ある固有の国家がその国土内で財やサービスとの交換を可能とするために発行し、
法律によって税の支払いなどを唯一認める貨幣の内在価値を表すという主義のこと。
対義的には金本位制などの金属主義がある。 - 古代の統治者や初期の国民国家が独自通貨を導入することを可能にしたのは、 税金制度であり、 それによって通貨が個人間の交換手段として使われるようになった。
税金が重要である理由
- あからさまに強制することなく、国民を働かせ、必要なものを手に入れることができる。
- 国民の支出を強制的に少し抑えさせ、インフレを防ぎつつ、政府の追加支出が入り込む余地を生み出す。
- 資産と所得の分配を修正する強力な手段。
- 特定の行動を助長したり抑制したりすることが可能。(悪行税)
予算に関するルールは隠れ蓑
- 有権者に同情するふりをしつつ、 財政赤字のために身動きがとれないと主張することができる。
- 本当の制約 = 経済の実物資源
第2章 インフレに注目せよ
神話2 | 財政赤字は過剰な支出の証拠である。 |
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現実 | 過剰な支出の証拠はインフレである。 |
ケインズ派 |
雇用を手に入れようと思えば、インフレを犠牲にしなければならない。 (トレードオフ) |
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マネタリズム (フリードマン) |
インフレの元凶は貨幣量が多すぎること。 失業率を一定以下に抑えることは事実上不可能。(自然失業率) マネーサプライが過剰に増加すれば、 インフレが賃金を上回る速度で上昇する。 労働者がそれまで以上に働いても(失業率は低下)、実質賃金は低くなる。 ↓ 労働者は賃上げを求める。 ↓ 労働者のクビを切る。 ↓ 自然失業率に回帰 + インフレ ★失業率を低くしようとすれば、インフレが加速する。 |
機能的財政論(アバ・P・ラーナー)
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政策の判断基準
- × 財政に及ぼす影響
- ◎ 実態経済でどのように機能するか
- 完全雇用を実現するために、財政政策によって総支出の不足を補えばよい。
就業保障プログラム
政府の財政政策 | 裁量的 |
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非裁量的 |
自動安定化装置となる (就業保障プログラムはこっち) |
- すべての失業者に、仕事と賃金と福利厚生のパッケージを提供。
- 政府は税金を課すことで国民に通貨を稼ぐ動機を与えている以上、 その手段が常にある状態を確保する責任がある。
- 公共の利益の増進
- コミュニティの強化
- 消費者の収入の安定化
- 消費支出の振れ幅を抑える
- 物価変動の安定
- 最低賃金の設定
- 人材の奪い合い防止
財政政策に対する制約
人工的な制約 | 歳入 |
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真の制約 | インフレ |
第3章 国家の債務(という虚像)
神話3 | 国民はみな何らかの形で国家の債務を負担しなければならない。 |
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現実 | 国家の債務は国家に負担を課すものではない。 |
- 魔法の杖を振って国家の債務を帳消しにしたら、 その債務を体現する金融商品、つまり米国債も消えてしまう。
中国が米国債を保有する理由
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中国は中国製品を米国に売ってドルを得る。
↓
ドル → 連邦準備銀行にある中国の口座
↓
金利が付かないので米国債を買う。
「中国からの借金」 の実態 |
FRBが、中国の準備預金勘定(当座預金口座)から数字を引き、 有価証券勘定(貯蓄口座)に数字を足す会計処理に過ぎない。 |
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- FRBが中国に債務を返済しようと思えば、逆の会計処理をすればいだけ。
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財務省証券を米国債と呼ぶのは誤解を招く。
現実には債務は存在しない。
1 | 政府 | 支出 → 100ドル |
国民 | ||||||
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2 | 政府 | 納税 ← 90ドル |
国民 | ||||||
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3 | 政府 | 国債 → 10ドル |
国民 | 現在、政府は財政赤字と同額の国債を発行している | |||||
4 | 政府 | 準備預金 ← 10ドル |
国民 |
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国債を発行するのは、
準備預金を保有する人々が、
それを金利の付く国債に転換できるようにするため。 -
目的は政府が資金調達することではない。
金利を維持することだ。 -
国債の利払いによって、
・インフレが発生するリスク
・格差が悪化するリスク
はあるものの、それが財政を圧迫することはない。
翌日物金利 | 中央銀行がコントロール |
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長期金利 |
中央銀行の ・現在の行動 ・予測される将来の行動 に基づいている。 |
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政府はいつでも国債金利への市場の影響力を封じることができる。
- 単に膨大な国債を買い入れるだけ。
- 日銀は国債残高の50%を保有。= 実質的な回収(償還)
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100%になったら?
- 投資家は国債の代わりに、同じ価値の現金を保有することになる。
税金が重要なのは、 政府が支出をまかなうのに必要なためではない。 政府支出によってインフレという問題が発生するのを防ぐのに役立つからだ。 |
国債の売り出しが重要なのは、 政府の財政赤字をまかなうためではない。 過剰な準備預金を除去することで、 FRBが金利目標を達成するのに役立つからだ。 (しかし、準備預金に利子を支払うようになった今、 FRBは金利目標を達成する手段として国債に頼っていない。) |
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国家債務と呼ばれるものは過去の記憶に過ぎない。
私たちを待ち受ける未来ではなく、これまでの歩みだ。
重要なのは債務の規模(あるいはその保有者)ではない。
私たちが過去を振り返ったとき、
この国債の山は民主主義を守るために
数多くのm優れた政策が実施された結果であると、
誇りを感じられるかどうかだ。
第4章 あちらの赤字はこちらの黒字
第5章 貿易の「勝者」
第6章 公的給付を受ける権利
第7章 本当に解決すべき「赤字」
第8章 すべての国民のための経済を実現する