- 第1章 人はなぜいるのか
- 第2章 自己複製子
- 第3章 不滅のコイル
- 第4章 遺伝子機械
- 第5章 攻撃 〜安定性と利己的機械
- 第6章 遺伝子道
- 第7章 家族計画
- 第8章 世代間の争い
- 第9章 雄と雌の争い
- 第10章 ぼくの背中を掻いておくれ、お返しに背中を踏みつけてやろう
- 第11章 ミーム 〜新たな自己複製子
- 第12章 気のいい奴が一番になる
- 第13章 遺伝子の長い腕
1章 人はなぜいるのか / Why Are People?
- 普遍的な愛とか種全体の繁栄などというものは、進化的には意味をなさない概念にすぎない。
- 【誤解】生きものは「種の利益のために」、「集団の利益のために」物事をするように進化する。
群淘汰 | 淘汰(自己利益)の基本単位は、種でも、集団でも、個体でもない。遺伝子である。 |
---|---|
個体淘汰 | |
遺伝子淘汰 |
2章 自己複製子 / The Replicators
- ダーウィン「最適者生存(survival of the fittest)は、じつは安定なものの生存というさらに一般的な法則の特殊な例だ。」
- 最初の型の自然淘汰は、単に安定したものを選択し、不安定なものを排除することだった。
水、二酸化炭素、メタン、アンモニアなどの単純な化合物 |
↓ 紫外線、稲妻 |
アミノ酸(複雑な分子) |
↓ |
プリンやピリミジンなどの有機物(DNAの構成要素) |
↓ |
大型有機分子 |
↓ 偶然 |
大型有機分子 |
↓ |
自己複製子 = 遺伝子 |
↓ 自己複製子同士の競争 |
タンパク質の壁を設ける = 細胞 |
↓ |
生き残った自己複製子は、自分が住む生存機械(survival machine)を築いた者たち。 最初は保護用の外皮の城。 |
↓ 生存機械の改良 |
いまや自己複製子は遺伝子という名で呼ばれており、私たちは彼らの生存機械なのである。 私たちは、遺伝子という名の利己的な分子をやみくもに保存するべくプログラムされたロボットの乗り物――生存機械なのだ。 |
- 私たちは、
-
安定した分子
- 長時間存続する
- 複製が速い
- 複製が正確
- 進化とは、自己複製子がその防止にあらゆる努力を傾けているにもかかわらず、いやおうなしに起こってしまう類のもの。
3章 不滅のコイル / Immortal Coils
- 体内の全細胞に、その人体の染色体が収められた核がある。
- 巨大なビルの全室に、そのビル全体の設計図が収められた書棚がある。
体 | ビル |
---|---|
細胞 | 室 |
核 | 書棚 |
染色体(46本) |
設計図(46巻) 23巻の設計図が2組 第1a巻,第1b巻, 第2a巻,第2b巻,... |
遺伝子 |
ページ (分離交換できるルーズリーフ) |
父親由来 | 第1a巻 | 第2a巻 | ... | 第23a巻 |
---|---|---|---|---|
母親由来 | 第1b巻 | 第2b巻 | ... | 第23b巻 |
-
a or b ?
- 採用されるページ(遺伝子)・・・顕性(優性)遺伝子
- 採用されないページ(遺伝子)・・・潜性(劣性)遺伝子
- 染色体上の同一位置を占める2つの遺伝子・・・対立遺伝子
-
有性生殖には遺伝子を混ぜ合わせる働きがある。
↓
個々の体がいずれも遺伝子の短命な組み合わせのための仮の媒体にすぎないことを意味する。
一個の遺伝子は、何世代もの個体の体を通って生き続ける単位。
体細胞分裂 | 46個すべての染色体がそのままコピーされる。 |
---|---|
減数分裂 |
生殖細胞(精子と卵子)を作るときだけ起こる細胞分裂。 生殖細胞は染色体を23個しか持っていない。 23個の染色体を持つ精子は、精巣内の46個の染色体を持つ普通の細胞が減数分裂して作られる。 |
染色体 レベル |
(父方)1a, 2a, 3a, 4a, ... 23a (母方)1b, 2b, 3b, 4b, ... 23b ↓ 減数分裂 1c, 2c, 3c, 4c, ... 23c |
---|---|
遺伝子 レベル |
(父方)1a(aP1, aP2, aP3, ...), 2a(aP1, aP2, aP3, ...), ... (母方)1b(bP1, bP2, bP3, ...), 2b(bP1, bP2, bP3, ...), ... ↓ 減数分裂 1c(aP1, aP2, bP3, ...), 2c(bP1, aP2, bP3, ...), ... 染色体1cのなかには、 父方の遺伝子と母方の遺伝子が混ざっている。 染色体の一部を交換する過程・・・交叉 |
-
自然淘汰の単位は遺伝子
- 自然淘汰とは各単位の生存に差があるということ。
- 各単位は、無数のコピーの形で存在していなければならない。
- 各単位は、進化のうえで意味のある期間を生き残ることのできる能力がなければならない。(コピーの形で生き残る)
- 小さな遺伝単位はこれらの特性を備えている。個体、グループ、種にはそれがない。
-
自然淘汰に成功する単位が持つべき特性
- 長生き
- 多産性
- 複製の正確さ
-
個体は安定したものではない。儚い存在だ。
染色体もまた、配られてまもないトランプの手のように、まもなく混ぜられて忘れ去られる。
しかし、カード自体は混ぜられても生き残る。このカードが遺伝子だ。
遺伝子は交叉によっても破壊されない。
ただパートナーを変えて進むだけだ。
彼らは自己複製子であり、私たちは彼らの生存機械なのである。
私たちは目的を果たしたあと、捨てられる。
だが、遺伝子は地質学的時間を生きる居住者だ。
遺伝子は永遠なのだ。
- 個々の遺伝子は、対立遺伝子、すなわち染色体上の同じ場所を占めようとするライバル遺伝子という特別な相手と競争している。
-
遺伝子は、その対立遺伝子と直接競い合っている。
遺伝子レベルでは、利他主義は悪であり、利己主義は善である。
遺伝子は利己主義の基本単位。
- 年取った体にガンを発達させる遺伝子は、ガンの発現前に個体が繁殖するので、多数の子孫に伝えられる。
- 老衰は、後期に働く致死遺伝子と半致死遺伝子が遺伝子プールに蓄積するという現象の副産物にすぎない。 これら遺伝子は、単に後期に働くという理由だけで自然淘汰の網の目をくぐりぬけることを許されてきた。
-
遺伝子プールは、原子のスープが昔の自己複製子に対して果たしていたのと同じ役割を、
現代の自己複製子に対して果たしている。
性と染色体の交叉には、現代版原子のスープの流動性を守るという効果がある。
- 進化は、遺伝子プール内で、ある遺伝子が数を増やし、ある遺伝子が数を減らす過程である。
4章 遺伝子機械 / The Gene Machine
- 体は遺伝子のコロニー。細胞は遺伝子の化学工場。
-
遺伝子は、直接自らの指であやつり人形の糸を操るのではなく、
コンピュータのプログラム作成者のように間接的に自らの生存機械の行動を制御している。
彼らにできるのは、あらかじめ生存機械の態度を組み立てること。
その後は、生存機械が独立して歩き始め、遺伝子はそのなかでただおとなしくしていることができる。
-
生存機械は、いま人間が用いている光学的技術を、私たちが登場するずっと以前に発明している。
- 焦点レンズ、音波の周波数分析、サーボ機構、ソナー、シミュレーション・・・
- 未来の未知数を見積もる → シミュレーション → 想像する → 主観的意識
- 遺伝子は方針の決定者で、脳は実行者である。
- だが、脳はさらに高度に発達するにつれて、次第に実際の方針決定をも引き受けるようになり、 その際、学習やシミュレーションのような策略を用いるようなった。
- この傾向が進めば、理論的には結局、遺伝子が生存機械にたった一つの総合的な方針を司令するようになる。
- つまり、「私たちを生かしておくのに最も良いと思うことを何でもやれ」という命令を下すようになる。
5章 攻撃 〜安定性と利己的機械 /
Aggression: Stability and The Selfish Machine
Aggression: Stability and The Selfish Machine
-
進化的に安定な戦略
ESS (Evolutionarily Stable Strategy)- 個体群の大部分のメンバーがそれを採用すると、別の代替戦略に取って代わられることのない戦略。
- 個体にとって最善の戦略は、個体群の大部分が行っていることによって決まる。
- 淘汰はこの戦略から外れたものを罰する。
- ESSの概念の発明は、ダーウィン以来の進化論における最も重要な進歩の1つ。
-
動物の闘いは抑制のきいた紳士的なもの。ルールに従って行われる、形式的な試合。ライバルを殺すことに尽力わけではない。
- ライバルの死によって、当人よりも他のライバルたちのほうが得をするかもしれないから。
- 共食い戦略は、報復の危険があまりに大きいためESSではない。
- 進化とは、たえまない上昇ではなく、むしろ安定した水準への不連続な前進の繰り返し。
- 遺伝子は「成績」で選ばれる。だがこの成績は、進化的に安定なセット、すなわち現在の遺伝子プールという背景のなかでの振る舞いに基づき判定される。
6章 遺伝子道 / Genesmanship
-
利己的な遺伝子の目的
- 遺伝子プール内にさらに数を増やそうとすること。
-
遺伝子は他の体に宿る自分自身のコピーをも援助できる。
↑
個体の利他主義として表れるが、あくまで遺伝子の利己主義の産物。
-
近縁度(relatedness)
- 2人の親族が1個の遺伝子を共有している確率。
-
兄と弟・・・平均1/2
母と子・・・常に1/2
-
父abと母xyの子
兄 弟 近縁度 ax ax 1 ax ay 1/2 ax bx 1/2 ax by 0 兄 弟 近縁度 ay ax 1/2 ay ay 1 ay bx 0 ay by 1/2 兄 弟 近縁度 bx ax 1/2 bx ay 0 bx bx 1 bx by 1/2 兄 弟 近縁度 by ax 0 by ay 1/2 by bx 1/2 by by 1
-
利己的自殺遺伝子が成功する最小の必要条件
- 同じ遺伝子が、自殺により救われた個体の体内に十分に存在すること。
- 2人以上の{兄弟か子供か親}を救って死ぬ。
- 4人以上の{甥姪かおじおばか祖父母か孫}を救って死ぬ。
- 親子関係が兄弟姉妹関係にくらべて遺伝的に特別なことは何もない。
-
血縁淘汰(kin selection)
- 血縁淘汰は群淘汰の特殊な例ではない。遺伝子淘汰の特殊な結果である。
-
孫の平均寿命のほうが長ければ、孫に対する祖父母の利他主義の遺伝子のほうが、
祖父母に対する孫の利他主義の遺伝子よりも淘汰上有利である。
- 平均寿命; 繁殖期待値; 将来自己の遺伝子に役立つ一般能力
- 養子を養う行為は、組み込まれた規則の誤用。自分の遺伝子には無駄なことをしているから。
-
近縁度に加え、確実度も。
-
「誰が自分の兄弟か」よりも「誰が自分の子か」のほうが確実度は高い。
- 兄弟間より親子間のほうが利他主義が強い。
- 数人の兄弟より自分一人のほうを高く評価する。
- 私は、私の利己的な遺伝子のどれもについて確信を持てる唯一の個体。
- 母親は父親より自分の子を確信できる。
- 母方の祖母は父方の祖母より孫を確信できる。
-
「誰が自分の兄弟か」よりも「誰が自分の子か」のほうが確実度は高い。
-
親子関係の非対称性
- 年の功・・・親のほうが子をよく助けられる。
- 平均余命・・・子のほうが長い。
7章 家族計画 / Family Planning
- 年の離れた幼い兄弟を育てることと、幼い息子を育てることは、遺伝子の利己性の観点からは同じ。
-
個々の親動物は家族計画を実行するが、
しかしそれは公共の利益のための自制ではなく、
むしろ自己の産子数の最適化のためだ。
彼らは、最終的に生き残る自分の子どもの数を最大化しようと努めているのであり、 そのためには生まれるこの数は大すぎても少なすぎてもよくない。
個体に過剰な数の子を持たせようとするに仕向ける遺伝子は、 遺伝子プールの中にはとどまれない。
その種の遺伝子を体内に持った子どもらは、成体になるまで生き残るのが難しいからだ。
8章 世代間の争い / Battle of the Generations
- 母親はすべての子どもに対して同じ遺伝的近縁度を持っているため、ひいきの子どもを作るべき理由はない。 ひいきを示すとしたら、その理由は、子どもたちの間に年齢・健康・その他の要因に依存した平均余命の相違があるため。
-
各々の子どもは、公平な割当量以上に親による保護投資を手に入れようと頑張るべきだが、限度がある。
限度量= 既存の弟妹、および将来生まれる可能性のある弟妹の被る損失が、自分の得る利益の2倍になる量 -
親による投資保護(Parental Investment)
- ある子どもに対する親の投資のうち、その子どもの生存確率(繁殖成功度)を増加させ、 同時に他の子どもに対する親の透視能力を犠牲にさせるようなあらゆるもの。
9章 雄と雌の争い / Battle of the Sexes
-
動植物を通じた、雄と雌の基本的な特徴
- 雄の生細胞(配偶子)は、雌の配偶子に比べてはるかに小型て、しかも数が多い。
- 他のすべての性差は、この1つの基本的差異から派生したもの。
-
雄による雌の搾取の出発点
- 雌が作れる子どもの数には限度があるが、雄には実質的に限界がない。
- 卵子は、大型で栄養をたっぷり含んでいる。受胎時において、すでに雌は雄よりも身を投じている。
-
雄の戦略 誠実 浮気 雌の戦略 恥じらい 尻軽 - 不誠実によって利益を得る度合いは、雄のほうが上。逃亡の傾向もやや強い。
- 「たくましい雄を選ぶ」戦略・・・父親からの援助を受けることを結果的には諦めてしまっている。代わりに良い遺伝子を得ることに全力を傾けている。
- ↑ 雌が情報を共有すれば、ごく少数の幸運な雄がほとんどの交尾に関与することに。
- 寿命は「生存能力の証」にならない。繁殖のための危険から逃げているだけかも。「生殖力の証」にならない。
- 雌から見た場合に雄の備えるべき最も望ましい性質の1つは性的魅力そのもの。
10章 ぼくの背中を掻いておくれ、お返しに背中を踏みつけてやろう / You scratch my back, I'll ride on yours
- 不妊のワーカー(働きアリ、働きバチ)は自分の子どもを作りはしない。 近縁者を世話することに全力を注いで、自らの遺伝子を保存しようとする。
- 社会性昆虫の1つのコロニーは巨大な家族。すべての個体は同じ母親に由来する。
-
膜翅目 (アリやハチ)- 結婚飛行のときに貯えられた精子で全生涯の子作りをまかなう。
- 未受精卵は雄になる。つまり、雄には父親がいない。
- 雄は自分の遺伝子をすべて母親からもらうが、母親は自分の遺伝子の半分しか息子には提供していない。
- 同一父母に由来する姉妹間の近縁度は、有性生殖動物は1/2だが、膜翅目は3/4である。
■有性生殖動物 母[AB] 父[CD] 子 ①[AC] ②[AD] ③[BC] ④[BD] 近縁度 ①と① 1.0 ①と② 0.5 ①と③ 0.5 ①と④ 0.0 ----------- AVG 0.5
■膜翅目 母[AB] 父[C ] 子(雌) ①[AC] ②[BC] 子(雄) ③[A ] ④[B ] 近縁度(姉妹) ①と① 1.0 ①と② 0.5 ----------- AVG 3/4 近縁度(母と子) 常に 1/2 近縁度(姉と弟) ①と③ 0.5 ①と④ 0.0 ---------- AVG 1/4 雌と雄の比率は3対1だった。
- 自分たちの遺伝子のコピーの生産を目指すワーカーたちは、 自らのその役を引き受けるよりも遺伝子生産の効率が良いという理由から、 母親を彼らの遺伝子コピーの生産者としてい利用している。【いわば養殖業】
11章 ミーム 〜新たな自己複製子 /
Memes: The New Replicators
Memes: The New Replicators
- 新種の自己複製子が自己のコピーを作れる条件が生まれさえすれば、 その新登場の自己複製子が勢いを得て、それ自体の新たな種類の進化を開始する。
- 「遺伝子による進化」は、可能な多種類の進化のうちの一例に過ぎない。
- 文化的進化と遺伝的進化の類似性
遺伝的進化 | 文化的進化 |
---|---|
[自己複製子] 遺伝子(gene) | [自己複製子] ミーム(meme) |
遺伝子が遺伝子プール内で繁殖するに際して、
精子や卵子を |
ミームがミーム・プール内で繁殖するに際して、 模倣と呼べる過程を媒体として、脳から脳へと渡り歩く。 |
[自己複製子の生存価] 寿命、多産性、複製の正確さ |
- ミームの生存価: それが持つ心理的魅力に基づく。心理的魅力=脳に対する魅力
-
進化的に安定な遺伝子セット
- 肉食動物の{派、爪、消化管、感覚器官}
-
進化的に安定なミーム・セット
- 宗教、建築、儀式、律法、音楽、芸術、・・・
- 遺伝子とミームは、私たちが死後に残せるもの。
- ソクラテスの遺伝子は、今日の世界に生き残っているか分からないが、彼のミーム複合体はいまだ健在。
-
私たちの意識的に先見する能力(シミュレーション能力)には、
自己複製子たちの引き起こす最悪で見境のない利己的暴挙から、
私たちを救い出す力があるはずだ。
単なる目先の利己的利益より、むしろ長期的な利己的利益のほうを促進させるくらいの知的能力はある。
同じテーブルに座って、「ハト派の共同行為」をうまく実行する方法を話し合うこともできる。
私欲のない利他主義は全史を通じて自然界には存在しない。
しかし私たちは、それを計画的に育成し、教育する方法を論じることができる。
私たちは遺伝子機械として組み立てられ、ミーム機械として教化されてきた。
しかし私たちは、これらの創造主に刃向かう力がある。
この地上で、唯一私たちだけが、利己的な自己複製子たちの専制支配に反逆できるのだ。
12章 気のいい奴が一番になる / Nice Guys Finish First
囚人のジレンマに勝利する戦略の2つの特徴
- 一番の戦略は「やられたらやり返す(Tit for Tat)」だが、 この戦略も含め、他の好成績の戦略には以下の2つの特徴がある。
気の良さ | 自分から先に背信しない |
---|---|
寛容さ | 報復することはあるが、短期の記憶しか持たない (過去は水に流す) |
真の囚人のジレンマ
- 背信への誘惑料😁 > 相互協力の報酬😊
- 相互協力の報酬😊 > 相互背信の罰金😔
- カモの支払い😨 > 相互背信の罰金😔 (絶対値)
- 相互協力の報酬😊 > 背信への誘惑料😁とカモの支払い😨の平均
相手がすること | |||
---|---|---|---|
協力 | 背信 | ||
あ な た が す る こ と |
協力 |
😊そこそこ良い😊 相互協力の報酬 300ドル獲得 |
😨非常に悪い😨 カモの支払い 100ドル徴収 |
背信 |
😁非常に良い😁 背信への誘惑料 500ドル獲得 |
😔そこそこ悪い😔 相互背信の罰金 10ドル徴収 |
13章 遺伝子の長い腕 / The Long Reach of Gene
- 1つの生物固体中の遺伝子が他の生物個体の体に延長された表現型効果を持つ。
- 遺伝子が「自らの」体の外側まで達して、外界を操作しているかのよう。
-
1つの遺伝子の表現型効果が、石のような生命を持たない対象だけではなく、「他の」生物体へも延長される。
- 例)カタツムリに寄生する吸虫は、カタツムリの殻をカタツムリが必要とする以上に厚くする。
- 寄主における変化は、もし、それが寄生者の利益となるダーウィニズム的適応と認めるならば、「寄生者の遺伝子の延長された表現型」と見なさなければならない。
- 遺伝子は自らの「体」の外まで手を伸ばして、他の生物体の表現型に影響を及ぼす。
-
寄生者は、必ずしも寄主の体内に住んでいる必要はない。彼らの遺伝子は遠く離れた所の寄主のなかに自らを表現することができる。
- 里親の行動の操作に向けてのカッコウの適応は、カッコウの遺伝子による延長された表現型の遠隔作用と見なすことができる。
- 1つの体のなかにあるすべての遺伝子は、「寄生的」遺伝子。
- 寄生者の遺伝子は、単に寄生者が寄主の体内について直接的な科学的手段によって操作できる場合だけでなく、 寄生者が寄主から遠く離れて、遠隔操作する場合にも、寄主の体に効果を及ぼすことができる。
- 遺伝子が物理的にどの生物の体内に位置するかは問題ではない。その操作の標的は同じ体かもしれないし、別の体かもしれない。
- 自然淘汰は、自らの増殖を確実にするように世界を操作する遺伝子を選ぶ。
-
延長された表現型の中心定理
- 動物の行動は、それらの遺伝子がその行動を取っている当の動物の体の内部にたまたまあってもなくても、 その行動の「ための」遺伝子の生存を最大にする傾向を持つ。
自己複製子 | 遺伝子 |
---|---|
ヴィークル | 生物個体 |
- 自己複製子は、巨大な共同の生存機械、すなわちヴィークルのなかに寄り集まる。
- 体は自己複製子ではなく、ヴィークル。
- ヴィークルはそれ自身では複製しない。
- その自己複製子を増殖させるように働く。
- 自己複製子は行動せず、世界を検知せず、獲物を捕らえたり捕食者から逃げたりはしない。
- 自己複製子は、ヴィークルがそういったことすべてをするように仕向ける。
- 遺伝子と生物個体は、ダーウィンのドラマにおいて、異なったキャストであり、多くの点で同等に重要な、互いに補い合う役割、すなわち自己複製子という役割とヴィークルという役割である。
- 寄生者の遺伝子が寄主の遺伝子と対立的に働くのは、 2組の遺伝子が共通のヴィークル(すなわち寄主の体)から退出する方法が異なるから。
-
寄主遺伝子のヴィークル脱出
- 精子または卵子を通じてヴィークルから離れる。
- すべての寄主の遺伝子は、どの精子どの卵子に対しても等しい利害関係を持っている。
-
寄生者遺伝子のヴィークル脱出
- 寄主の精子卵子に入れない。減数分裂のくじ引きに参加できない。
- 個体の群れ(鳥の群れや狼の群れ)は単一のヴィークルに合併されることはない。 群れの中の遺伝子は、現にあるヴィークルを脱出する共通の方法を持っていないから。
- ある物が、実質的な遺伝子のヴィークルとなるためには、 内部のすべての遺伝子にとって公平な、未来に向けての脱出路線を持たなければならない。
-
成長と繁殖の明確な区別
- 根本的な変化は「製図板に戻り」、以前の設計を放棄して新たに出発することによってのみ達成できる。
- 新たな出発点に戻る。世代が替わるごとに新たなスタートを切る。
- 祖先の設計の理念をDNAのプログラムの形で引き継ぐが、その祖先の肉体的な器官を引き継がない。
- ボトルネック型の生活環は、製図板に戻るのと同等のことを可能にする。
-
生活環のボトルネック化は、
- 「製図板に戻る」
- 「秩序正しく時間の決まった周期」
- 「細胞の均一性」
-
生物個体を本質的に定義する特徴:
「初めと終わりに単細胞のボトルネックを持つ単位」
-
「利己的遺伝子」と「延長された表現型」という生命観
- あらゆる生命の根本的な単位であり原動力であるものは「自己複製子」。
- 自己複製子は、自らの固有の性質のおかげだけではなく、世界に対してそれがもたらす帰結のおかげによっても生き残る。
- 遺伝子は個体の体壁を通り抜けて、外界の世界にある対象を操作する。