2016年9月3日土曜日

『インターネットの次に来るもの~未来を決める12の法則』

〈インターネット〉の次に来るもの―未来を決める12の法則
ケヴィン・ケリー 服部 桂
NHK出版
売り上げランキング: 44
  • まとめ
  • Becoming|なっていく
  • Cognifying|認知化していく
  • Flowing|流れていく
  • Screening|画面で見ていく
  • Accessing|接続していく
  • Sharing|共有していく
  • Filtering|選別していく
  • Remixing|リミックスしていく
  • Interacting|相互作用していく
  • Tracking|追跡していく
  • Questioning|質問していく
  • Beginning|始まっていく
まとめ

ネット化したデジタル世界は名詞(結果)ではなく動詞(プロセス)として生成し【Becoming】
世界中が利用して人工知能を強化することでそれが電気のようなサービス価値を生じ【Congnifying】
自由にコピーを繰り返し流れ【Flowing】
本などに固定されることなく流動化して画面で読まれるようになり【Screening】
すべての製品がサービス化してリアルタイムにアクセスされ【Accessing】
シェアされることで所有という概念が時代遅れになり【Sharing】
コンテンツが増え過ぎてフィルターしないと見つからなくなり【Filtering】
サービス化した従来の産業やコンテンツが自由にリミックスして新しい形となり【Remixing】
VRのような機能によって高いプレゼンスとインタラクションを実現して効果的に扱えるようになり【Interacting】
そうしたすべてを追跡する機能がサービスを向上させライフログ化を促し【Tracking】
問題を解決する以上に新たな良い疑問を生み出し【Questioning】
そしてついにはすべてが統合され著者がホロス(holos)と呼ぶ次のデジタル環境(未来のインターネット)へと進化していく【Beginning】

これらは12の力は・・・
  • 12の連続した行動の一つひとつがいまのトレンドとなり、少なくとも今後30年は続いていく。
  • 新しいテクノロジーに現れるバイアスとなる。すべてのテクノロジーの共通する。
  • 近い将来にわれわれの分化に起こるメタレベルの変化を表している。
Becoming|なっていく
  • 手で触れられないデジタル世界では、静的で固定されたものなど何もない。すべては何かに【なっていく】。
  • 漸進的な進歩。ある時点で見定めるのは難しく、後からでないと変化に気づけない。
  • そのままの形を維持するためには、付加的なエネルギーや秩序が必要。無形なものも同じ。ソフトウェアもアップグレードが必要。
  • 未来のテクノロジー生活は、終わることのないアップグレードの連続となる。
  • アップグレードを遅らせることはより破壊的な結果をもたらす。
  • 【なっていく】世界では、われわれは永遠に初心者のまま。常に謙虚でなければならない。
  • テクノロジーはわれわれの心に穴を空ける。(例:スマホなしでは生きられない)
  • ウェブの引き起こした革命の中心にあったのは、新しい種類の参加の形であり、それはシェアを根本原理とした新しい文化へと発展していった。
    新オンライン世界が、大きな組織ではなく、ユーザーによって作り上げられた。「チャンネルの数の多いテレビ」ではなかった。
  • 【2050年のウェブ】ハイパーリンクがすべてのデジタル情報をつなぐ。 動画やゲームの中にも届く。また、現実世界のモノにも届く。時間領域にも広がっていく。 ウェブは出向くべき場所ではなく、あなたの存在そのものに近いものになる。常時存在している会話のようなもの。
  • いま、インターネットはアプリやプラットフォーム、端末、コンテンツが溢れている。すべてが潤沢な世界で、もう手を付ける場所が残っていない。
    あなたがもしインターネットの黎明期である1985年に起業家だったらどんなに素晴らしいことが起こっただろう。
    「当時は何もかもが可能だった。そのことに気づいてさえいれば!」
    しかし・・・
  • インターネットはまだその始まりの始まりに過ぎない。
    2050年の市民の生活を支えているすばらしいプロダクトのほとんどは、2016年には出現していないことに気づくだろう。
    「あぁ、あの頃には、インターネット(その頃は何と呼んでいるのか知らないが)なんて、まるでなかったんだね」
    「当時は何もかもが可能だった。そのことに気づいてさえいれば!」
Cognifying|認知化していく
  • AIは、スタンドアロンのスーパーコンピューターの中ではなく、インターネットとして知られている何十億ものコンピューター素子で造られた超生命体の中で生まれる。クラウドベースのAI。
  • 3世代ほど前には、あらゆる道具の電動版を作ることで儲けていた。(起業家は電気を起こす必要はなかった。)

    現在は、電化されたものをコグニファイする段階。それは単にXにAI機能を付けるということ。
  • 2002年!の話。
    著者「なんで無料のウェブ検索サービスなんてやってるの?」
    Google創業者ラリー・ペイジ「僕らが本当に作っているのは、AIなんだよ」
  • GoogleはAIを使って検索機能を改良しているのではなく、検索機能を使ってAIを改良している。
  • 2026年までにGoogleの主力プロダクトは検索ではなくAIになるはず。
  • 【AI、3つのブレークスルー】
    1. 安価な並列計算(GPU)
    2. ビッグデータ(どんあ知能にも教育が必要。教材=データ。)
    3. アルゴリズムの改良(深層学習、ディープラーニング)
  • 【収穫逓増の法則(ネットワーク効果)】ネットワークの規模が拡大するにつれて、その価値はそれ以上に増大する。
    クラウドコンピューティングはこの法則を強化する。
  • AIの未来は、2〜3の大きな汎用クラウドベースの商用知能に寡占的に支配される。
  • AIによってなされる思考は、人間のそれとは似ていない。
    人工的な知能はとても非人間的。
    「Artificial Intelligence(人工知能)」というより「Alien Intelligence(異質の知性)」
    最も重要な思考マシンは、人間が考えもつかないことを扱うもの。
    これから200年の間に、宇宙人との接触があるかどうかは分からないが、宇宙人のような知能を作り上げていることはほぼ100%確かだ。
  • 今世紀が終わるまでにいま存在する職業の70%がオートメーションに置き換えられる。このオートメーション第2の波の中心にあるのは、人工的な認知、安価なセンサー、機械学習、偏在するスマート機能。
  • AIが人間のようなものだと思うのおは、飛行機が鳥のように翼をばたつかせると発送するのと同じ論理上の欠陥。
  • ロボットのおかげで生産コストが下がるにつれ、輸送コストの方がはるかに大きなものになる。
  • さまざまな分野でオートメーションが成功して、そこに新しい職業が生まれる。これはオートメーションが実現されなければ想像さえできなかった職業。百万年前の少年はゲームデザイナーを目指すなどと夢にも思わない。
  • 人間の役割は、ロボットのために仕事を作り続けること。この作業は決して終わらないので、人間の仕事も少なくとも1つはずっと残る。
  • ロボットのおかげで、われわれはもっと人間らしい仕事に集中できる。
AIの到来による最大の恩恵 = 人間性を定義する手助けとなる
  • 【AI効果】
    • 原理が分かってしまうと「これは知能ではない」と思うこと。(音声認識、文字認識、自然言語処理、ゲーム(将棋・囲碁)、検索エンジン、など)
  • AIが何かを成し遂げるごとに、それを非AIとして再定義してきた。
  • 「人間に固有だと思っていること(知能)」をAIで実現

    そのAIを非AIとして再定義。(例. 「機械学習」というラベルを貼る)
    その「人間に固有だと思っていること」は機械的プロセスであり「知能」ではないと見なす。
    →「人間に固有だと思っていること」をひとつ放棄したことになる。

    今後も多種のAIが発明され、「人間に固有だと思っていること」をさらに放棄することになる。

    真に人間に固有なものが残る。

    人間性が定義される。
Flowing|流れていく
  • インターネットは世界最大のコピーマシン。音楽でも映画でも本でもネットに触れていればコピーされる。
  • デジタル経済はこうした自由に流れるコピーの川の上を動いている。
  • データ、アイディア、メディアを瞬時にコピーできることが、21世紀の経済の主要セクターを下支えしている。
  • われわれの関心は、形ある品々から手に触れられないコピーのようのモノの流れに移っていく。
  • 固形のプロダクトが、アップデートされ続けるサービスの流れとして販売される。
  • 固形の車は、ウーバーのような個人向けオンデマンド運輸サービスへ。
  • 永続的なアップグレードが連続していく。より良いものが途切れることなく流れていく。
  • コンピュータ化の3つの段階
    第一段階 工業化時代からの借用
    「デスクトップ」、「フォルダ」、「ファイル」・・・【階層的】
    ※新しいメディアの初期の形は、それが代替した古いメディアを模倣する。
    第二段階 ウェブの原理によって体系化
    「ページ」、「ブラウザ」・・・【フラット】
    第三段階 流れとストリーミング
    Twitter, Facebook, 音楽ストリーミングサービス、チャット、…
    バッチ方式からリアルタイムへ
    リアルタイムで処理するには、すべては流れていかなくてはならない
    デジタル時代の第三段階の基盤となるのは、流れタグクラウド
  • コピーが超潤沢にあるとき、それは無価値になる。その代わり、コピーできないモノは、希少化して価値を持つ。
  • 「無料より良い」8つの生成的なもの
    1. 即時性
    2. パーソナライズ
    3. 解釈(ソフトは無料だがサポートは有料)
    4. 信頼性
    5. アクセス可能性
    6. 実体化(音楽は無料だがコンサートは有料)
    7. 支援者(感謝を示すファンとアーティストの間に流れる捉えどころのない結び付き)
    8. 発見可能性(アマゾン最大の資産は読者レビュー。レビューのおかげで読みたい本を発見できる。)
  • コピーを禁じようと法的な脅しや技術的な策を練っても効果はない。簡単にコピーできないような性質を育てよう。
  • ストリーミングにより音楽が再び名詞から動詞へと変化する。流れていく存在となる。
  • 流れていく過程
    1. 固定的/希少
    2. 無料/どこにでもある
    3. 流動的/共有される
    4. オープン/なっていく …オーディエンスが今度はアーティストになる
  • ソフトがハードを凌駕する。知識が物質を支配する。手に触れられない生成物が、フリーな世界の上に立ち上がる。それこそが「流れていく世界」。
Screening|画面で見ていく
  • 新しい世界では、高速に動きまわるコード(コンピュータのコードが進化したもの)が、固定的な法律より重要になる。
  • スクリーンに表示されるコードはユーザがいくらでも手を加えることができるが、本に刻まれた法律ではどうはいかない。コードは、法律と同じように行動を規定することもできる。
  • 本の民は法律による解決を好むが、スクリーンの民はすべての問題の解決にテクノロジーを使いたがる。
  • 読書はソーシャルになる。文章にリンクが張られる。孤立した本が1つになる。
  • 本はもはや一冊ごとに綴じられたものでなく、すべての本が織り込まれた巨大なメタレベルの本になり、ユニバーサルな図書館となる。集合知を生み出し、個別の本からは見えない世界を見せてくれる。
  • リンクとタグは、過去50年で最も重要な発明かも。検索エンジンやAIで解析され、リンクの両端の関係性が強化される。これが本の世界でも起き、ユニバーサル図書館をスクリーンで読むことを可能にする。
  • ユニバーサル図書館が引き起こすこと
    1. 読者がいなかった本が読まれるようになる。
    2. 歴史に対する理解を深めることができる。
    3. 人間が、何を知っていて何を知らないのか、より明確に理解できるようになる。
    4. ユニバーサル図書館が文化的な生活のプラットフォームになり、本の知識を再び舞台の中心へと呼び戻す
  • 本は熟慮する心を養成する。スクリーンは行動を引き起こす。用語を調べたり、ブックマークを付けたり、ツイートしたり。
Accessing|接続していく
  • Uberは車を持っていない。Facebookはコンテンツを持っていない。Alibabaは倉庫を持っていない。Airbnbは不動産を持っていない。
  • Netflixのユーザは映画を所有していない。Spotifyのユーザは音楽を所有していない。Amazon Kindle Unlimitedのユーザは本を所有していない。Playstation Nowのユーザはゲームを所有していない。
  • 所有することは重要でなくなっている。その一方でアクセスすることは、かつてないほど重要になってきている。
  • デジタル・ネイティブはわれ先にと前へ進み、未知のものを探索していく。所有するよりアクセスすることで私たちはいつも柔軟で新鮮な気持ちでいられ、次に何が起ころうとも向かっていけるのだ。
  • 「所有からアクセス」を加速させる5つのテクノロジーのトレンド
    1. 非物質化
    2. リアルタイム化
    3. 分散化
    4. プラットフォームの有効化
    5. クラウド化
①非物質化
  • 単位GDP当たりに必要な物質の量は過去150年下がり続け、過去20年間に特にその傾向は加速している。つまり、より少ない物質でより多くの価値を生み出している。
  • 「ソフトウェアがすべてを食いつくす」…知能といったソフトがアルミ缶のようなハードの中に組み込まれ、ハードがソフトのように動くようになる。ビットが吹き込まれた物質的な商品が、サービスのように振る舞いだす。名詞は動詞へと変容する。
  • 「所有権の購入」から「アクセス権の定期利用(サブスクリプション)」へ
  • プロシューマ―、サービサイズ(サービス化)、SaS、自動的なアップデート
  • ホテルのサービサイズ = Airbnb
  • ツールのサービサイズ = TechShop
  • 衣服のサービサイズ = Stitch Fix, Bombfell
  • オモチャのサービサイズ = Nerd Block, Sparkbox Toys
  • 食品、家具、健康、住まい、休暇、学校、...
②リアルタイム化
  • オンデマンドアクセス方式のサービス(XのUber)
  • 花のUber、クリーニングのUber、芝刈りのUber、技術サポートのUber、合法マリファナ配達のUber、...
  • 運輸(もしくはX)の便宜をアンバンドルして別々の構成要素に分けて、新しいやり方で組み合わせ直す。
    1. 自動車を購入して運転していく【一般的な状態】
    2. 会社にお金を払って運転してもらう【タクシー】
    3. レンタカーを借りて自分で運転する【レンタル】
    4. 誰かにお金を払って連れていってもらう【Uber】
    5. 誰かから車を借りて自分で運転する【RelayRides】
    6. 会社にお金を払って相乗りして固定した道順を行く【バス】
    7. 誰かにお金を払って相乗りして自分の目的地まで行く【Lyft Line】
    8. 誰かにお金を払って相乗りして決まった目的地まで行く【BlaBlaCar】
  • 形ないもののシェアはいくらでも拡張できる。映画なら同じものを同じ時間に何人にでも貸すことができる。
③分散化
  • 中央集権的な組織からよりフラットなネットワーク型の世界に移行した結果、すべてのものが素早く流れて全体の統一を維持しなければならなくなった。流れるものは所有することが難しく、アクセスするというスタンスが相応しい。
  • ブロックチェーンはお金だけでなく、他の多くのシステムを脱中央集権化するものすごい発明。
  • ブロックチェーンは公的なコモンズ(共有地)の性格を持つ。誰も所有していない=皆が所有している
④プラットフォームの有効化
  • 人間の仕事を体系化する方法:組織市場、第三の方法「プラットフォーム
  • 【組織】 会社のような形をとり、はっきりとした内と外の境界がり、許認可によって動き、外部では不可能なほど効率よくコラボレーションを実現する。
  • 【市場】 境界が曖昧で、参入に許認可は必要なく、資源の再分配を最大化するために「見えざる神の手」を使う。
  • 【プラットフォーム】 1つの組織によって作られた基盤であり、その基盤上で他の組織にプロダクトやサービスを作らせる。
  • 生態学的な深い相互依存: ある種(プロダクト)が栄えるかどうかは他の種の成功にかかっている。競争と協調が混じり合った共進化の原理。
  • プラットフォームの世代
    • 第1世代:Windows
    • 第2世代:iTunes …より市場的
    • 第3世代:Facebook …市場機能を拡張;多方向の市場;多方向のマッチングを規定
  • プラットフォームは「サービスの工場」であり、サービスは所有よりアクセスを好む。
⑤クラウド
  • ウェブはハイパーリンクされた文書、クラウドはハイパーリンクされたデータ。データを深いレベルで共有することになる。
  • クラウドが大きく成長すればするほど、それを使う端末が小さく薄くなる。
  • Google Documents …複数の人が同時編集できる = それぞれが文書のコピーを編集しリアルタイムに反映される = 正統性が分散している
  • ツールとはわれわれ自身を拡張したもの
    • 車 … 拡張された足
    • カメラ … 拡張された目
    • クラウド … 拡張された魂・拡張された自己
  • 過去10年間にシリコンバレーに若い会社が爆発的に増えたのは、クラウドで運用される最良のインフラに安価にアクセスできるようになったから。
  • クラウド同士を融合したインタークラウドが誕生するだろう。
  • メッシュ = 無線クラウド … 完全に脱中央集権化したP2Pのアクセス;P2Pが張り巡らされた中継局がないネットワーク
Sharing|共有していく
新しい社会主義、デジタル版社会主義
  • 生産手段を持った大衆が共通の目標に向かって働き、プロダクトを共有し、自分の労働を賃金の対価なく提供し、成果物をタダで享受する。
  • この世界の基本通貨は「シェア」。…共有経済(シェアリング・エコノミー)
協調作業の段階構造
  1. シェア
    • Facebookでの写真のシェアなど
  2. 協力
    • コミュニティによるシェア
    • 「能力に応じて働き、必要に応じて受け取る」という社会主義者の約束を超えて、より貢献できて、必要以上のものがもたらされる。
    • 全体が個々の総和を凌駕する。伝統的な社会主義では、こうした力学を国家レベルに集約。現在のデジタルによるシェアは、政府から切り離されて、国家を超えた規模で機能している。
  3. コラボレーション
    • 組織的な協働。Linuxなどのオープンソース開発。
    • たいして支払いも受けずに市場価値の高い仕事をこなしている。資本主義の枠内では理解を超えている。
    • お金の代わりに信用や地位や評判を得て、楽しいや満足や経験という形で報われる。
    • オンラインのコラボレーションを可能にする新しいツールが共同体方式の生産を支えている。
    • 正しいツールがあれば、野心家の個人同士の競争よりも、協働コミュニティのほうが優れている場合もある。(ウィキペディアの修復機能)
    • 協働がうまくいっていない分野も、新しいツールや方法論の開発が必要なだけかもしれない。
  4. 集産主義
    • テクノロジー版社会主義のゴール …「自由市場的な個人主義」や「中央集権的な権威主義」ではない。「個人の自律性」と「集団が生み出す力」を同時に最大化すること。


  • 無償で働く動機 …「学んで新しい技能を身につけるため」「自分という鈍ったソフトウェアを改善するため」
  • 「シェア」はまだ2合目。適切なテクノロジーによって正当な恩恵が得られ、正しい条件が整えば、シェア不可能だと考えていたものもシェアできるようになる。(お金、健康、性生活、心の不安、など)
  • かつてはカルテのシェアなんて考えられなかったが、シェアすることでお互いの治療の質を向上。【PatientsLikeMe】
  • ここ数十年ほどの繁栄の大部分は、社会問題に市場の力を解き放つことで得られた。今やわれわれは、コラボレーションを可能にするソーシャル・テクノロジーによって同じ芸当を試みている。
  • 脱中央集権化ではあるが、ある種のトップダウンの知性も必要になる。オープンソース開発において、膨大な貢献を管理しているのは、はるかに小さな調停者の集団。
  • クラウドファンディングが将来果たす有望な役割は、ファンを基盤にした株式
  • 誰もが公開会社のオーナーとして株式を持てるオープンなP2Pの仕組みができれば、ビジネスに革命を起こす。何万もの革新的なビジネスが解き放たれる。
  • シェアリング・エコノミーはオーナーシップの共有までを含むことになる。
  • 想像もしなかったことを想像もしなかった方法でシェアする …これから30年、最大の富の源泉、そして最も面白い文化的イノベーションはこの方向の延長線上にある。
Filtering|選別していく
  • クラウドの中のすべてのものはフィルタリングされて、パーソナライズの度合いが高まる。
  • 情報の潤沢さは、アテンションの貧困を生み出す。潤沢な世界において、唯一の希少性は人間のアテンションにある。
  • これからの20年は、もっと質の高いアテンションを大規模に増やしていくためのフィルタリング・テクノロジーを利用することが、ゴールでありチャンスにもなる。
  • パーソナライズを強化するテクノロジーは、われわれが何者であるかという問いを否応なく突きつけてくる。
  • パーソナライズされた助言やお勧めに耳を傾けることで、自分自身を知る。
  • 幾重ものフィルターが、われわれ自身を蒸留してその特異な部分を抽出し、個性を最適化してくれる。
Remixing|リミックスしていく
  • 本当の持続的な経済成長は新しい資源から生まれるのではなく、既に存在する資材を再編成することでその価値が上がり、それで達成される。
  • トラが動物界の象徴のように思っているが、実際は統計的に見ればバッタこそが動物界の王様。
  • 最も見られているYouTube動画は10億回以上も再生されている。ハリウッドのヒット作品を超えている。
  • ハリウッド以外の映画製作のほとんどはリミックスによって作られている。
  • どんな偉大な作家でも、以前に使われて一般に共有された表現をリミックスすることで魔法をかける。新しい言葉を作っているのではなく、辞書に載っている言葉を再構築してるだけ。
  • メディアの中で起きている革命的な動き=「発見可能性」「巻き戻し可能性」
  • AIを使って、日常的に動画を検索できるようになる。
  • 【非破壊編集】 どれだけ変更を重ねても、作業のどの時点にでも遡ってそこから再開できる機能。
  • 生活の流れを記録するようになると、生活の多くの部分がスクロール可能になる。
  • リミックスする(既存の素材を再編成する)ことは、伝統的な財産や所有という概念に大混乱を引き起こす。
  • いまの法体系は農耕時代の原理で動いており、所有物には実体があることが前提となっている。所有することが重要でなくなったデジタル時代に追いついていない。
  • 著作者に一時的(100年!)な独占権を与えているが、これはイノベーションや創造活動にとって重大な損失。
Interacting|相互作用していく
  • VRの救世主:スマホ(ちょうどいい大きさのスクリーンとモーションセンサー)
  • VRのウリ:「プレゼンス」「インタラクション」
  • VRの中ではそこにでてくる他人が、他のどんなものよりも興味を引く。
  • 未来のオフィスワーカーは、新たに進化した手のジェスチャーを使いながら、デバイスに話しかける。ぶつぶつ言いながらダンスするように動く。
  • インタラクションをけん引するトレンド
    1. より多くの感覚(人間の能力を超えた感覚=GPS、温度計、X線ビジョン、臭覚、…)
    2. 親密さを増す(ポケットの中、腕の上、肌の上、そして肌の下へ。)
    3. 没入感を増す(最大限にインタラクションするにはテクノロジー自体の中に飛び込まなくてはならない(VR, AR)。テクノロジーは第2の皮膚。)
  • VRの世界では、そこで起こることのすべてが例外なくトラッキングされる。現実世界もトラッキングが増え、VRの世界に近づいている。もっと近づけば日常生活もゲーム化できるようになる。ゴミを捨てたらポイントを得る、みたいな。
  • 社会に破壊的変化を起こしたプラットフォーム
    1. パソコン
    2. モバイル
    3. 次はVR
Tracking|追跡していく
健康分野
  • 「定量化された自己(Quantified Self)」の確立。
  • 健康診断は1年に1回ではなく、毎日ずっと。
  • 長期間セルフ・トラッキングすれば、「あなたの正常値」が分かる → オーダーメイド医療
  • 今までの実験・研究 ・・・Nが多ければ多いほど優れている
  • クオンティファイド・セルフ ・・・N=1
  • いままで) Nを多くしてプラシーボ効果を除去するのが大事
    ↓ 
    N=1の世界) 改善が得られればプラシーボ効果でも構わない
  • デバイスが集めた情報を数値ではなく、われわれが感じられる形(手首での振動など)で提供してくれれば、われわれは、進化の過程では得られなかった、体の新しい感覚を身につけることになる。
人生の記録
  • ウェアラブルとなった小さなデジタルの目や耳が、誰に合って何を言ったかといった1日のすべての瞬間を記録し、われわれの記憶を助けてくれる。
  • ライフ・ストリーム ・・・時系列にならべられた流れで、あなたの電子版人生の日記
  • 自分の人生を検索できるようになる。


  • IoTやクラウドの本質は「データの追跡」。
  • 追跡可能なクラウドに接続せれているものはすべてトラッキングされる。


コピーとトラッキングの立場は似ている
コピー トラッキング
インターネットが持つコピーへのバイアスを受け入れ、容易にコピーできない価値(パーソナライズ、実体化、本物であること)を追い求める人々は成功していくだろうが、コピーしたいというネットの欲求を否定したり禁止したりして阻止しようとする人たちは、取り残されていく。 トラッキングを飼い慣らし、市民のために生産的に使う方法を見つけた人々は成功していくだろうが、それを否定して違法にしようと試みる人たちは取り残されていく。
消費者は当然ながら、自分たちの利便性のために手当たり次第にマシンにコピーさせる。 消費者はトラッキングされたくないというが、実際には自分たちの利便性のためにマシンに自分たちのデータを提供し続ける。
社会的、文化的な傾向というよりテクノロジーによるもの。どこか別の惑星でさえ同じバイアスがかかるだろう。 社会的、文化的な傾向というよりテクノロジーによるもの。どこか別の惑星でさえ同じバイアスがかかるだろう。
共監視
  • 一方的な監視ではなく、相互に透明な共監視。
  • シェアしたいという人類の衝動が、プライバシーを守りたいという気持ちを上回っている。
  • われわれの精神は常に共監視される環境の中で進化してきた。それほど昔ではない時代の小さな町でもそうだった。
  • 匿名を基本にしたものはすべて失敗している。匿名性は責任逃れのために使われることがほとんど。責任の不在は最悪の事態を招く。


  • これから30年の大きな課題は、われわれがトラッキングし創造したすべての情報を解析して、最も原始的な要素にまで分解していくこと。そして、想像もつかなかったような意外な方法で再構成していく。
  • トラッキングされた情報が分解され、AIによりコグニファイされ、再構成されることにより、新規プロダクトとなり、革新的なサービスになっていく。
Questioning|質問していく
  • かつて不可能だと思われたことが毎日のように可能になっていく。なぜいまなのか?
    • 新しいレベルの組織が出現・・・集産主義的組織
    • 大規模なコラボレーション
    • 大量のリアルタイムでの社会的インタラクション
  • 不可能な重大事件が起きる可能性もある。
    • 社会構造が世界規模で破壊されるのは不可避。
    • 負の形もまた、どんどんコグニファイし、リミックスし、フィルターをかけられていく。 犯罪・詐欺・戦争行為・拷問・腐敗・スパム・汚染・強欲はもっと分散化し、同時にデータを中心に回る。 徳も悪も両方が、同じように【なっていく】大きな力と【流れていく】大きな力となる。 スタートアップや大企業がシェアやスクリーンに適応しなければならないのと同様に、犯罪組織やハッカー集団も適応していく。 悪者でさえこうしたトレンドからは逃げられない。
  • いつしか世界は不可能なものばかりで成り立つように見えると、あり得ないことがもはやあり得ないと思えなくなる。不可能なものが起こるのは不可避に思えてくる。
  • 権威から真実を教えてもらうのではなく、ウェブを流れている液化した事実から自分なりの確かさを集めて回ることになった。
  • 白日夢のようなインターネットは、真面目な思考と遊んでいるときの思考の違いを曖昧にする。
    2つがゴチャゴチャになって浪費する時間こそが価値があり、創造性を高める。
    遊びと仕事が合体する。
    これが新しい発明がもたらした最大の功績では。
    つまり、高度に進化した先進社会では、仕事というものがなくなるのでは。
  • 新しいあり方
    • ビットからビットへ飛び回り、ツイッターでつぶやき、新しいことに難なく入り込み、白日夢を見て、あらゆる事実に一つひとつ疑問を抱く。
    • 流動的にアイディアからアイディアへと渡っていくべき。それが荒れ狂う情報環境への答え。何もせずに失敗するのでもなく、贅沢に溺れるのでもなく、波頭と同じ速さで流れていかなければならない。
  • 科学のパラドクス:1つの解答が得られると少なくとも2つの新しい疑問が生じる。
  • 疑問と答えの間のギャップがわれわれの無知だとすれば、それは指数関数的に増えていく。
  • 価値を生み出す原動力は「答えの確かさ」から「質問の不確かさ」へと移行している。
  • 答えはどこにでもあり、すぐに得られ、信頼できて、ほぼ無料になる。
  • 質問を生み出すものは、われわれ人類が絶え間なく探索する新しい領域・新しい産業・新しいブランド・新しい可能性・新しい大陸を生み出す原動力。
良い質問とは
  • 正しい答えを求めるものではない。
  • すぐには答えが見つからない。
  • ひとたび聞くとすぐに答えが知りたくなるが、その質問を聴くまではそれについて考えてもみなかったようなもの。
  • 思考の新しい領域を創り出すもの。
  • その答えの枠組み自体を変えてしまうもの。
  • 科学やテクノロジーやアートや政治やビジネスにおけるイノベーションの種になるもの。
  • 探針であり、「もし〜だったら」というシナリオを調べるもの。
  • ばかげたものでも答えが明白なものでもなく、知られていることと知られていないことの狭間にあるもの。
  • 予想もしない質問。
  • 教養のある人の証。
  • さらに他の良い質問をたくさん生み出すもの。
  • マシンが最後までできないかもしれないもの。
  • 人間だからこそできるもの。
  • ※ 例)アインシュタイン「もし光線の上に乗って飛んだら何が見えるだろう?」
Beginning|始まっていく
  • この惑星の住人が互いにリンクし、初めて1つのとても大きなものになる。いまはその始まり。
  • 不活性な物体にちょっとした知能を加え始め、それらをマシン知能のクラウドに編み上げ、その何十億もの心をリンクさせて1つの超知能にしようとしている。
ホロス(holos)
  • 未来のインターネット
  • 全人類の集合的知能と全マシンの集合的行動が結びついたもの
〈インターネット〉の次に来るもの―未来を決める12の法則
ケヴィン・ケリー 服部 桂
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