2017年6月20日火曜日

『半導体の覇者(週刊東洋経済2017.05.27)』

  • Part1 激変する産業勢力図
    • ★AI時代は半導体で制する
    • 東芝メモリ「国益漏洩」の真偽/交渉の長期化で笑うのはサムスンだ
    • 【INTERVIEW】久夛良木 健 @サイバーアイ・エンタテインメントCEO・元ソニー副社長
    • ★グーグルが半導体を開発した必然
    • ARM買収でソフトバンクは何を得るか?
    • ★IoTで反撃に出るインテル
    • 【INTERVIEW】キャサリン・ウインター @インテル 自動ソリューション事業部長
    • ★AIと自動運転握るエヌビディアの素顔
    • ★中国の半導体育成は本気だ
    • 医師社長が挑む最速半導体
  • Part2 日本企業 敗北の本質
    • 重視すべきは、カネか経営力か 混迷する東芝メモリ売却
    • 日本連合に固執する経産官僚の不見識
    • 国と企業が犯した過ち ニッポン半導体敗戦記
    • 【INTERVIEW】結局、経営者は何を間違えたのか 入山章栄 @早稲田大学大学院准教授、冨山和彦 @経営共創基盤CEO
    • ルネサス浮上は本物か
    • 日の丸装置の賞味期限
    • 次世代露光装置で完敗 崖っ縁のニコン、キヤノン

AI時代は半導体で制する
  • NANDフラッシュメモリのデータセンタ需要が急増している。
  • 10年に1度の大需要期が来る。
  • 半導体産業の潮流は、統合から分業へ、そして再び統合へ。
    AppleやGoogleなどの半導体を販売しない企業が半導体メーカー化。
    自社のサービスや製品を強化する上で、半導体が欠かせないと考えている。
垂直統合型 開発から製造まで一貫して手がける。
水平分業型 ファブレス & ファウンドリーの登場。
台湾のTSMC社が、半導体製造をサービス業化するビジネスモデルで、垂直統合を破壊した。
新・統合型 ITサービス企業(ファブレスのかつての顧客)の半導体メーカー化。
グーグルが半導体を開発した必然
CPU あらゆる種類の計算が行えるマルチプレーヤー。
消費電力は大きい。
GPU 画像処理プロセッサー。
大量のデータを読み込ませ、そこにある共通点や特徴を機械自身が学び取る「機械学習」に向いている。
NVIDIAがデファクトスタンダード。
消費電力は大きい。
TPU
(第1世代)
「学習」のあとの「推論」専用。
CPUやGPUに比べ15〜30倍の計算性能。30〜80倍の省電力性能。
「ムーアの法則の三世代分を先取りした」と自賛。
TPU
(第2世代)
「学習」と「推論」両方で使える。

  • GoogleはTPUを極めて短期間に開発。設計から運用まで1年3ヵ月。
Google TPU
NVIDIA AI用のGPU最新製品「テスラV100」を発表(2017年5月10日)
「データセンターの処理能力は15倍向上する」
IBM 「トゥルーノース」
人間の脳の構造を54億個のトランジスタを使って再現。
Intel 2016年に買収した「ナバーナ・システムズ社」の技術をベースに機械学習用の半導体を2017年内に発表する方針。
2015年に買収した「アルテラ社」の FPGA(製造後にソフトを使って機能を柔軟に変えられる半導体 - field-programmable gate array)を使って、別の機械学習用半導体を開発している。
Microsoft 機械学習でのFPGA活用に研究開発投資を行っている。
富士通 学習段階専用の半導体「DLU」(Deep Learning Unit)を発表。 2018年から出荷。
グロック TPUプロジェクトに所属していたジョナサン・ロスが設立。何をしているか不明。
IoTで反撃に出るインテル
  • パソコン王者がスマホで出遅れ
    • ARMの設計図面を使い機動的に開発したアップル社やクアルコム社の後塵を拝する。
  • 設計・開発・製造まで一貫して手がける垂直統合型企業 = インテル と サムスン ぐらい
  • データセンター向けプロセッサーの成長が年2桁のため収益は盤石。しかしディープラーニング向けはNVIDIAに数年先行せれている。
  • 自動運転、IoTでも出遅れ感。
  • 技術面での先行性も失われつつある = 過去20年で初めて他者に遅れをとる事態が起こっている
    インテル 量産しているのは線幅14ナノメートル。
    2017年末に10ナノメートルを導入予定 ←当初より1年遅れ
    サムスン すでに線幅10ナノメートルを出荷している。
  • ベンチャー買収で保守的な企業から脱皮
    アルテラ 2015.12 167億ドル FPGA半導体の最大手。
    短期間で小ロットを生産できるため、IoT市場で熱い視線を集めている。
    ナバーナ・システムズ 2016.08 3.5億ドル ディープラーニング半導体を手がける有力ベンチャー。
    モービルアイ 2017.03 153億ドル ADAS(先進運転支援システム)向け画像認識モジュールに強み。
  • 買収対象のキーパーソンを要職に抜擢している = 保守的な企業文化をベンチャーをのみ込むことにより変えようとしている
AIと自動運転握るエヌビディアの素顔
  • エヌビディアは「21世紀のインテル」と呼ばれている。
  • 覇者となるには盟友が必要。エヌビディアの盟友:
    テスラ 最大の盟友。
    すべての車両に、エヌビディアのGPUを使用した自動運転システムを搭載する計画。
    モービルアイからエヌビディアに鞍替え。
    アウディ モービルアイからエヌビディアに鞍替え。
    トヨタ NVIDIAのGPUとソフトウェアを基に、運転システムを共同開発する。
    グーグル 「学習」→ GPU
    「推論」→ TPU
    (将来的にはライバルに?)
    フェイスブック
    アマゾン
    マイクロソフト
    大口顧客。
    ファナック 工場のIoT化で共同開発中。
  • 半導体だけでなく、ソフトウェアを含む全体的なソリューションを提供している。エンジニアも半導体よりもソフトの方が多い。
  • 半導体企業ではなく、AIコンピューティングの企業に変貌している。
中国の半導体育成は本気だ