- まとめ
- 原油量
- 2014年5月〜の原油価格下落
- シェールオイル
- 石油と天然ガス
- ピークオイル論の誤り
- 原油相場の展望
- サウジアラビア
- 米国のエネルギー・モンロー主義
- 国際石油市場
- 「資源悲観論」の誤り
- 日本のエネルギー戦略
まとめ
- リーマンショック後の原油価格の上昇に限ってみれば、その恩恵に最も浴したのはシェールオイル。
- シェールオイルを生産している企業は生産性の向上により底油価での安定経営が可能になったとの指摘があるが、5年以上にわたり累積した膨大な債務によって原油価格次第では今後さらに多数の企業が破綻する可能性がある。
- 原油価格が2014年前半に比べて3分の1になったのは、原油先物の金融商品化にある。ボラティリティが大きくなったことがその証左。
- 2017年以降も原油価格は引き続き低位で推移するが、世界の金融市場に異変が生じれば1バレル20ドル以下になるリスクがある。
- 原油価格の下落は、メリットよりもデメリットの方が大きい。湾岸産油国への深刻なダメージが原油の安定供給に大きな支障をもたらす。
- 中でも心配なのはサウジアラビア。日本にとって最大の危機に。
- シェール革命が生じたことで米国で「エネルギー・モンロー主義」が台頭する。トランプ政権でその可能性が高まる。
- 米国のエネルギー自立により、世界の原油市場は今後激変する可能性がある。
- 日露関係は戦後最高レベルに達している。ロシアは信頼できるエネルギーサプライヤーである。
- 「サハリン地域の天然ガスをパイプラインで日本に供給する」構想が有益。
重要人物
ダニエル・ヤーギン | エネルギー問題の世界的権威。 |
マイケル・リンチ | 原油市場分析で世界的に評価が高い。 |
原油量
世界の原油埋蔵量 | 2兆920億バレル |
米国の原油埋蔵量 | 2640億バレル |
ロシアの原油埋蔵量 | 2560億バレル |
サウジアラビアの原油埋蔵量 | 2120億バレル |
世界の原油生産量 | 9500万バレル/日 |
国境を超えて輸送される原油 | 3800万バレル/日 |
└ホルムズ海峡を通過 | 1700万バレル/日 |
原油現物の取引量 | 50万バレル/日 |
原油先物の取引量 | 10億バレル/日 |
米国の原油生産量 (2016年末時点) | 850万バレル/日 |
中国の原油輸入量 | 800万バレル/日 |
米国の原油生産量 (2008年末時点) | 500万バレル/日 |
2014年5月〜の原油価格下落
- 原油価格が2014年前半に比べて3分の1になったのは、原油先物の金融商品化にある。ボラティリティが大きくなったことがその証左。
- 2014年半ばにFRBが量的緩和政策を終了させるとの観測がきっかけ。
- それまでは、世界の中央銀行から放出された大量のマネーの一部が原油市場に流れ込んでいた。
シェールオイル
- リーマンショック後の原油価格の上昇に限ってみれば、その恩恵に最も浴したのはシェールオイル。
- シェールオイルを生産している企業は生産性の向上により底油価での安定経営が可能になったとの指摘があるが、5年以上にわたり累積した膨大な債務によって原油価格次第では今後さらに多数の企業が破綻する可能性がある。
在来型の原油 | シェールオイル |
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砂岩に含まれている原油 |
泥岩に含まれている原油 とくに |
砂岩層に穴を開けると自然に地上に吹き出る。 |
泥岩に吸着しているので穴を掘っても取り出しにくい。 強い圧力の水を当ててシェールに人工的に大きな割れ目を作り、原油を取り出す。 【 垂直に掘り始めた坑井を徐々に曲げていき、最終的に水平になるまで傾斜させる。 長い油層の区間に沿って掘削を進め、一つの坑井あたりの生産性を向上させる。 【 岩体に超高圧の水を注入して亀裂を生じさせる。 |
一度掘り当てれば長期間生産できる。 世界最大のサウジアラビアのガワール油田は1951年から操業を維持している。 |
岩盤を砕くために多くの井戸を掘り続けるという「自転車操業」。 ↑ デメリットであったが、最近はメリットとして捉えられるように。 |
|
形態が「資源抽出」というより「製造業」に近い。 広大な鉱床域で多数の坑井を掘削しながら、最適開発条件に学習接近する。 リグ(掘削装置)の移設が容易。 |
大型油田の場合、発見されても開発には何年もの時間と膨大なコストがかかる。 (1坑辺り10億ドル) |
最短1週間で掘削でき、コストも150万ドル程度。 |
【強み】 市場の動静に応じて少しずつ投資を増やせるという特徴があり、臨機応変な対応が可能であること。 |
- トランプ政権のエネルギー政策の柱 =「シェール掘削規制の緩和」
自転車操業の悪循環
- 既存の
油井 から上がる利益以上の額を新たな油井に投資している。 - 原油価格が生産コストを下回っても、借金返済のために操業を停止することができない。
- シェール業界は中小企業が多く、リーダーが不在。他社の減産を期待するばかりの「囚人のジレンマ」状態。
- シェール企業のアキレス腱は「巨額の債務」。
- 金融市場が引き締めに転じれば、シェール企業の大量倒産が再び発生する可能性がある。米国外の金融市場にも影響が及ぶ可能性も。
石油と天然ガス
- 石油と天然ガスの生成過程は同じ。
- プランクトンや植物などの生物死骸の有機物が、土砂といっしょになって河口付近に堆積する。
↓ - 有機物はあまり地中深くないところで「ケロジェン」と呼ばれる高分子化合物へと化学変化する。
↓ - その後、数百年〜数億年の間、高音・高圧の環境にさらされ続けると、ケロジェンは原油に熟成変化する。
↓ - この原油がさらに地中深く、より高音・高圧の環境に置かれていると、熱分解されてメタンになるが、これが天然ガス。
浅い地層 (2000m〜3000m) |
原油 |
深い地層 (3000m〜) |
天然ガス |
ピークオイル論の誤り
- ピークオイル論(2000年代前半): 「数年以内に世界の原油生産量は減少に転じる」
-
誤りの原因: 探鉱活動が進み資源量の把握を比較的正確に行うことができた米国での埋蔵量の推定方式を、探鉱活動がまばらで資源量の把握がほとんど手つかずであった世界全体に適用したこと。
(探鉱活動がまばらだと資源量の把握が困難) - マイケル・リンチ:「世界の原油埋蔵量は11兆バレルあり、すでに算出した分を除いても向こう250年以上の世界の消費をまかなえる」
-
2016年時点の予測:「石油需要(供給ではない)は2030年にピークに達し、その後は後退する」
(再生可能エネルギーや電気自動車の技術革新が進めば2020年になるかも)
原油相場の展望
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長期的な原油市場にとって本質的なのは、供給ではなく需要。
代替エネルギーがないコアな需要(輸送部門など)を持っているため、いまだ大幅な需要減にまで至っていないが、世界の原油需要は近い将来、日量1億バレル程度のピークを迎えるだろう。 - 2017年の石油生産への投資額が3年連続で減少する見通し。
- アラブ首長国連邦のエネルギー相「1バレル50ドル台の原油価格は探鉱開発を活発化するインセンティブにならない」
- 石油の歴史上初めて3年連続で投資が減少するため、2020年代初めに供給が需要に追いつかず、価格が不安定化する。
- マイケル・リンチ: 「2017年末まで1バレル40ドル前半と低水準が続くが、投資が減ることにより需要が引き締まるため、2020年末には原油価格は80ドルにまで達する」
- 著者: キーワードは「枯渇から余剰へ」。世界経済が不調になれば1バレル20ドル以下になる可能性も。投資不足による原油供給への不安から再び上昇する可能性もあるが、1バレル60ドル以上になればシェール企業が大増産するため、60ドルが上限になる。
サウジアラビア
- 財政の均衡に必要な原油価格=1バレル80ドル以上
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ビジョン2030
- 石油依存度を減らし産業を多様化し、民間企業の育成を進めると同時に、燃料などの補助金をカットして政府の歳出を抑える。
- 他国も似たようなことをやっているがうまくいっていない。(1995年のオマーン、2008年のUAE、2010年のクエート)
- 国王:アブドラ → サルマン
- 最大の課題:高まる若者らの不満への対応。民主化を求める若い世代が増加。財源を失ったら不満が一気に爆発するかも。
-
改革の主役はムハンマド副皇太子。
- 実質的な国王
- 副皇太子
- 国防大臣
- 経済開発評議会議長(石油政策を決定する権限を有する)
- 外交政策の実権も握る
- 目指しているのは広範な経済改革。「サウジアラビア版サッチャー革命」。
- サウジアラムコの株式公開もその一環。透明性の向上と汚職撲滅に役立つ。
-
高まる不満
- 地域の影響力拡大を目指すイランを阻止するべく、イエメンの代理勢力への空爆。
- 被雇用者の70%は公共部門で働いていて、雇用が安定し給料も高い。
- 燃料補助金のカット、年金支給額の引下げ、売上税の導入。
- ビジョン2030への予算も大幅にカット。
- 富裕層の海外への資金逃避の噂も。
イエメンへの軍事介入
2015年初め |
イエメンのシーア派武装組織「フーシ」が ハディ暫定大統領を 首都サヌアから追放する。 |
2015年3月 |
「イランの影響力が拡大する」 とサウジアラビア政府が懸念。 軍事作戦を開始。 |
現在も戦闘状態。 アラブ連合軍(サウジアラビアが主導)の度重なる誤爆も問題に。 |
- 隠れた目的
目的 | イエメンから、シーア派武装組織「フーシ」を一掃する。 |
---|---|
隠れた目的 |
イエメンのハドラマウト県の併合 ↑ ハディ暫定大統領も同意していた 【併合の目的】 サウジアラビアの原油を イエメンのハドラマウト県ムカラまで パイプラインで輸送し、 そこから世界に原油を輸出する。 ↑ イランによるホルムズ海峡閉鎖への備え |
スンニ派(90%) | シーア派(10%) | |
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サウジアラビア バーレーン アラブ首長国連邦 過激派:アルカイダ |
イラン イラク 過激派:イスラム国 |
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後継者めぐる問題 | イスラム世界の指導者は必ずしも世襲される必要はないと考えている。 | イスラム教の預言者ムハンマドの後継者は義理の息子イマーム・アリーであり、イスラム世界の指導権はムハンマドの子孫に引き継がれるべきだと信じている。 |
イマーム・アリーとその家族の崇拝 | イマーム・アリーとその子孫を崇拝し、イマームと11人の子孫を祭る聖廟に年に1度巡礼する。 | |
多数を占めるスンニ派 |
イスラム教社会の約90%はスンニ派。 サウジアラビア、バーレーン、アラブ首長国連邦の政府当局者はスンニ派。 |
約10%がシーア派。
イランとイラクはシーア派が政権を握っている。 シリア政権はシーア派の分派であるアラウィ派。 |
礼拝スタイル |
両腕を組む。 日に5回の礼拝を順守。 |
腕を組まない。 日に3回の礼拝。 |
統治 | 過去の宗教指導者たちが記した学術的書物に従っている。 | 階層構造による統制が強く、生存する宗教指導者らを信奉している。 |
対立 |
必ずしも信者同士が互いを敵視しているわけではない。 表面的には宗派対立でも、実は経済的な利権争いであることも多い。 一方が政権につくと、他方が冷遇される。 |
米国のエネルギー・モンロー主義(米国の脱中東政策)
- 【モンロー主義】欧米両大陸の相互不干渉を主張するアメリカ合衆国の外交原則。1823年にモンロー大統領がラテン-アメリカ諸国独立に対するヨーロッパの干渉を拒否する宣言を発したことに基づく。
世界の原油埋蔵量 2兆920億バレル 現在の原油需要の70年分 |
■7割は在来型 ■ ■ ■ ■ ■ ■ |
■3割は非在来型 ■(シェールなど) ■ |
No.1 米国 | 2640億バレル |
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No.2 ロシア | 2560億バレル |
No.3 サウジアラビア | 2120億バレル |
中東産油国と米国との関係の歴史
【1938年】サウジアラビアで石油が初めて発見される、米国企業によって。 | ||||
サウジアラビアは、米国経済が成長するための不可欠な石油供給源。 | ||||
「石油と安全保障」の関係。 | ||||
中東産油国は石油を「武器」に使うようになる。 | ||||
【1960年】OPECが創設。 | ||||
【1973年】第四次中東戦争により、米国の中東産油国における利権を剥奪。 | ||||
エネルギー資源を中東産油国に依存している米国は「世界の警察官」として、引き続き、中東の安全を保証する。 | ||||
【中東諸国と縁切りするトランプ政権】 ○注目スべきエネルギー政策=「キーストーンXLパイプラインの認可」
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安全保障政策は様変わり? 米国とサウジアラビアの同盟関係にひびわれ? → 世界経済は戦後最大の危機を迎える? |
国際石油市場
-
国際石油市場の重要な特徴
- 市場の再分配機能
- プライス・リーダーが存在しない。
国際石油市場とは
国際石油市場とは、一連の流れのシステム全体のこと。 生産された石油の取引市場のこを単に指すのではない。 |
石油の上流事業 |
新規の油田の探査 開発 生産 設備のメンテ |
石油の下流事業 |
輸送 精製 販売 消費 |
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自転車操業的性格が国際原油市場の本質を理解するための第一歩。
- 次々に新しい油田を発見し、開発しなければならない。
- 大きな油田であっても、絶えず新しい坑井を掘削。
- 坑井や生産設備を絶えずメンテナンス。
- 上流事業は数百億から数千億単位の巨額のリスクマネーと高度の技術力を要する事業であって、北米地域を除くと、通常は巨大な石油会社しか事業ができない。
- 生産された石油の瞬間風速的な取引状況だけを見ていても理解したことにはならない。投資・生産・売買・精製・消費などのダイナミクスを含む全体のながれが国際石油市場なのだ。
石油は流動性が高い商品 〜市場の再分配機能
- 輸送コストが非常に安い。その気になればいつでも地球の反対側からさしたるコスト増なしに大量の石油を購入できる。
- 世界全体が単一の石油市場として物理的に統合されている。
- 石油の輸出国と輸入国の組み合わせパターンは、いざというときには短期間で大幅に変わりうる。
- ほぼほぼ世界の原油価格は同一。
- 天然ガスは、長距離輸送コストが高いため、世界単一市場は形成されておらず、地域によって価格が大きく異る。
原油価格が乱高下しやすい理由
供給面 | 価格の下落 | →生産を減少させるインセンティブが働かない | →下落が止まらない |
---|---|---|---|
価格の上昇 | →新規投資を行なって生産を増加させるには時間がかかる | →上昇が止まらない | |
需要面 | 価格の下落 | →経済活動・生活の前提である自動車・飛行機・工場は止められない | →下落が止まらない |
価格の上昇 | →(同上) | →上昇が止まらない |
OPECの衰退
1073年〜1974年 | 第一次石油危機 | OPECは価格カルテルを実施して、1バレル3ドル → 12ドルに(2ヵ月で4倍) | 原油価格が7年で11倍に |
---|---|---|---|
1070年代を通じて | セブン・シスターズを追放 | ||
1978年〜1979年 | 第二次石油危機 | 1バレル12ドル → 34ドルに(3倍) | |
1980年 | イラン・イラク戦争 | ||
1986年 | (逆オイルショック) |
反動で原油需要が急激に減退 ↓ 原油価格の暴落 ↓ OPECの国際価格カルテルは崩壊 |
↓ ←← |
「OPECは消費国に敵対して暴利をむさぼろうとする国際カルテル集団である」というイメージは過去の遺物。 |
大手石油会社の実像
- 石油会社から総合エネルギー会社へ。
- 石油は天然ガスとセットで語られる。「Oil & Gass」
- 大手石油会社は、上流事業の収益の40%を天然ガスであげている。
- 現在、事業の重点をさらに石油から天然ガスに移している。
- 天然ガス事業と発電事業とを一体化した新たな戦略部門「Gass & Power」。
埋蔵量の定義
- 単に「埋蔵量」という場合は 「確認可採埋蔵量」を指す。
- あくまでも、現在の価格および技術水準を前提にしている。
「資源悲観論」の誤り
- 技術革新によって原油の生産コストが下がり、回収率が向上する。
- 技術革新・地質情報の蓄積・産油国の優遇政策(鉱区解放や税制等)の実施により、探鉱対象地域が増大する。
- 当初、採算が合わないと考えられていた多数の中小規模の油田が、地域全体の開発が進むとパイプライン等のインフラが整備され、これによって経済性が向上して、商業開発がなされる。
-
最先端技術が実際に適用されている地域は、世界の一部に過ぎない。
-
三次元地震探鉱技術
- 爆薬の爆発を利用して人工的な地震を発生させ、その地震波(弾性波)の伝播の状況から地下の構造を知り、鉱床などの地下資源を探索する方法。
- 四次元地震探鉱技術
-
大偏距掘削技術 - 水平方向に遠くはなれたターゲットに向かって掘削することを目的とした坑井の掘削。
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三次元地震探鉱技術
- 「ほっといても枯渇しない」と言っているわけではない。枯渇化の問題を生じさせないためにも、今後も技術革新と探鉱開発投資活動がますます重要になってくる。
日本のエネルギー戦略
- 世界の原油は日量3800万バレルが国境を超えて輸送されている。ホルムズ海峡はその5割(1700万バレル)が通過する原油の海外輸送最大の要衝。
- シェール革命によって米国が中東地域の安定に関心を失ってしまい、中東地域の安定が維持される保証がなくなった。
-
産地・調達手段・ルート・資源を1つに頼りすぎるのは危険。
- 中東 → 極東ロシア
- 石油 → 天然ガス
天然ガスは究極の化石燃料
- 水素は単位量あたりの熱量が最も多いため、エネルギーとしての利用価値が高い。
- 炭素が少なければ、燃やしてもCO2の排出が少ない。
-
「水素:炭素」の比率
木材 1:10 石炭 1:1 石油 2:1 天然ガス 4:1 天然ガスは人類がたどり着いた究極の化石燃料である - 日本の電力の主力燃料源はLNG(LNG火力発電)となったが、この傾向は一時的なものではなく、恒久的な変化。
- 天然ガスをLNGの形で輸入するのは特異。 国際的には、天然ガス輸出の9割以上はパイプライン。 パイプラインが遅れてるのは日本だけ。
-
「シェールガスの日本への輸入」は切り札にならない。
- シェールガスの産出量の減少は、在来型のガス田より早い。
- 米国の天然ガス価格(3ドル/100万BTU)は、利益を確保するのに必要な価格(6ドル/100万BTU)からほど遠い。
- ガス開発会社の負債が大きすぎる。
- 本命は「日ロ天然ガスパイプライン」。
日ロ天然ガスパイプライン
- サハリンの天然ガスは、1980年代に日本とロシアの共同事業によって発見。
- 天然ガスは軽いため、漏れてもすぐ上空に拡散するという「自然の安全装置」がある。
- 中国はドイツを抜いてロシア産天然ガスの大輸入国となる。→ロシアは日本に接近しバランスをとりたいはず。
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ガスの禁輸は「武器」として使えない。
- ウクライナへの供給停止は、料金未払い・違法抜き取りへの懲罰的な措置。
- トルコへの経済制裁に対しては天然ガスの輸出停止はない。
- 現在各種資源間の競争が激化している中で、資源国が天然ガスの供給を一方的に停止すれば、消費国からの信頼を失い、以降天然ガスを一切購入してもらえなくなる。
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パイプラインの相互確証抑制効果
- 資源国がパイプライン建設という先行投資を着実に回収するために消費国に天然ガスを安定的に供給するという発想が強くなる。→消費国に対して敵対的な行動をとることができなくなる。