- 第一部 コンサルの基本技
- 第二部 一流コンサルのスゴ技
- 第三部 コンサルを目指す、コンサルを超える
第一部 コンサルの基本技
1章 問題解決力
- 問題解決とは総合芸術。 あらゆるものを駆使して、あらゆる角度からロジカルに考える。そして、最後は理論を超える。 直感と完成が要求される。
- 問題解決 = 分析力 + 構築力
- 要素分解していくことによって、問題の本質に迫っていく。
- 重要なのは、もっとも正しい答えを出すことではなく、答えを当事者たちに信じさせること、そして、実行させること。
- 当初クライアント企業が解決を相談してきた問題以外のところこそ、本当の問題がある、という仮説のもとに分析する。
- 問題解決は総合芸術である。
- 「問題だ」と思われているものは、減少にすぎず、本質的な問題ではない。
- 問題解決には、分析力に加えて、構築力がカギとなる。
- そのためには、真理に迫る論理力だけでなく、心理に迫る洞察力が必要。
- 答えはひとつではない。実行されてはじめて答えにたどり着く。
- ファクトベースのマッキンゼー流と、心理学重視のボスコン。導入する企業にとっては、3ヵ月で1割をとるか、3年で7割をとるかの選択とも言える。
2章 課題設定力「論点思考」
- 問題の本質(チョークポイント)についての仮説から出発する。
- Why? を5回で、問題の本質を深掘りする。
- 「やるべきこと」を見つけるのではなく、「Why not yet?」(なぜできていないのか)を見極めることがカギ。
- 問題箇所に集中するのではなく、ソリューションスペースを広げる。
- 問題を機会に変えることで、異次元の可能性につなげていく。
- 事実に推論を加え、推論のあとにレコメンデーションがあってはじめて、提案としての価値が生まれる。
3章 仮説構築力「仮説思考」
- 通説や常識を疑うこと。そのためには、素直(良い子)ではなく、あまのじゃく(悪い子)たれ。
- 眼の前のことにとらわれず(ずームイン)、視野を広く持つ(ズームアウト)。
- 「既顧客」ではなく、「未顧客」に注目する。
- 時間軸を取り込むことで、トレードオフをトレードオンに変換する。
- 盲点を探すこと。そのために、ダイバーシティを取り込み、外部と接する表面積を広げる。
- 「OBゾーン」に打ち込み、「聖域」に踏み込む。
- 失敗を恐れず、失敗から学ぶこと。仮説を壊し続ける勇気を持つ。
- 問題とその答えの本質は外部ではなく、自分自身の中にある。
4章 インパクト力「インパクト思考」
- 課題(イシュー)に丸ごと取り組むのではなく、サブイシューのかたまりに細分化する。
- すべてのイシューに答えを出すのではなく、インパクトとスピードで優先順位をつける。
- 経営上最重要なインパクト指標はボトムライン(収益)である。
- インパクトが大きいものの時間がかかるものは、さらに細分化して、実行スピードを上げることで、 最優先で取り組むことができる。
- 問題解決はスパイラルなプロセス。壊しては組み立て直す。
- まず実践してみて、そこからの学びを踏まえて、問題解決プロセスを再起動させる。
- アマゾンでは、ロングテール部分の売上が過半数を占め、従来の「80:20の法則」が崩れ去った。
- IoTとAIを駆使すれば、あらゆる事象を対象に瞬時に分析を行うことができるようになったため、 データ収集や解析能力に制約があった時代の「80:20ルール」は、もはやかこのものになりつつある。
- 五感を超えた第六感、直感力は、AIの追随を許さない人間独自の能力であり、 非連続な未来を予見するのに必要な力である。
5章 フレーミング力(1) MECEとロジックツリー
MECE
-
Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive
(お互いに)(排他的)and(全体的に)(余す所なく)
(ダブりなく)and(漏れなく)
- 「漏れなく、ダブりなく」事象を細分化する。
- 「ダブり」を完全に排除する必要はない。むしろ「ダブり」にこそ、新しい発見があることも少なくない。
- 「漏れ」は極力排除する。「漏れ」の部分にこそ、盲点がある場合が多い。
- MECEに分ける目的は、それを完璧に行うことではない。 むしろ、うまく切れないところから、違う答えが見えてくるところにこそ、価値がある。
ロジックツリー
- MECEな切り口に沿って、ロジックツリーを作成する。
- いったんひとつのロジックツリーを作っても、そこで思考を止めず、できるだけ多くのロジックパターンを書き出してみる。
- ロジックツリーから漏れているものをチェックし、重要な漏れに光を当てる。 たとえば「既顧客」だけでなく「未顧客」。
イシューツリー
-
ロジックツリー :事象の塊をロジカルに細分化。
イッシューツリー:イシュー(課題)を具体化していく。
- イシューをMECEな軸でサブイシューに分解して、仮説を立てていく。
- その際に、生産現場ではQCD、市場競争環境を把握するうえでは3Cなどの切り口が役に立つ。
- 仮説を検証し、間違っていれば、「ずらす」ことによって修正していく。
- 仮説は検証するために立てるもの。仮説が間違っていることがわかったら修正すればよい。
6章 フレーミング力(2) 定番フレームワーク
REST分析
- マクロ環境を整理するフレームワーク。
- Politics(政治), Economics(経済), Socio-Cultural(社会・文化), Technology(技術)
- ただし、そこから新しい洞察が生まれることはない。あくまで確認であり、自社らしい戦略を練り上げるためのスタートラインにすぎない。
SWOT分析
プラス | マイナス | |
---|---|---|
内部環境 | Strength (強み) |
Weakness (弱み) |
外部環境 | Oppotunity (機会) |
Threat (脅威) |
- SWOT分析は、単なる整理学(現状認識の追随)で終わることが多い。
- SWOT分析では、当たり前の「強み×機会」や「弱み×脅威」ではなく、「弱み×機会」と「強み×脅威」にこそ注目すべき。
- 「弱み×機会」には、M&Aやアライアンスが有効。
- 「強み×脅威」には、「セルフ・ディスラプション(自己破壊)」を狙った別組織で対抗する。(IBMのThinkPad)
3C分析
- 市場を、顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの軸できる3C分析は、それぞれを独立関数として分析しても意味がない。
- 3者の重なりと動きに注目することで、市場のダイナミズムを洞察できる。 現状分析ではなく、将来予測こそが、戦略立案のキモとなる。
- ブルーオーシャンは決して長くは続かない。 したがって、レッドオーシャンでも勝ち抜くパワーと、新たにブルーオーシャンを生み出す努力の両輪が必要となる。
5S(ファイブフォース)分析
企業の競争要因 (脅威) |
既存競合他社 |
---|---|
新規参入企業 | |
代替品 | |
売り手の交渉力 | |
買い手の交渉力 |
- 5F分析は、現状の整理にはなるが、それを戦略の前提にしてはならない。
- 非連続な成長を目指すうえでは、顧客、サプライヤー、競合などと「競争」するのではなく、いかに「共創」するかという視点が求められる。
バリューチェーン
- バリューチェーン: 原材料や部品の調達活動から商品製造や商品加工、出荷配送、マーケティング、顧客への販売、アフターサービスまでの一連の事業活動を、 個々の工程の集合体ではなく価値(value)の連鎖(chain)としてとらえる考え方。
- バリューチェーンを自社の活動に限定してとらえてはならない。 顧客や産業全体の視点から、幅広くとらえ直すこと。
- そのうえで、「足すもの」と「引くもの」、「自らやること」と「他人に任せること」をクリエイティブに設計し直す。
アンゾフの成長マトリクス
既存製品 | 新製品 | |
---|---|---|
新市場 | 市場開拓 | 多角化 |
既存市場 | 市場浸透 | 新製品開発 |
- 「新×新」領域に一気に飛ぼうとすると、強みがないので確実に失敗する。
- 片方の軸を既存に置き、もう片方の軸を新規にずらすことで、イノベーションの成功率が高まる。
- (上級編として)3×3のマトリクスにすることにより、中間に「渡り廊下」を置くことで、進化の「けものみち」が見えてくる。
マトリクス・パワー(ORからANDへ)
- 一見トレードオフに見える2つの軸をあえて直行させるマトリクスを描いてみる。
- まずは構造を把握し、そのうえで構造から逃れようとする。
- 箱(構造)の中に納まるのではなく、いかに箱から飛び出すか。
- 2軸のマトリクスによって構造化することで、一見 二律背反(トレードオフ)に見える事象が、 実は両立しうる(トレードオン)ことに気づく。
- スマートリーン、トランスナショナルモデル、CSVなど、 イノベーション、グローバリゼーション、サステナビリティなどといった21世紀型の経営課題の ソリューションは、マトリクスから生まれている。
- マトリクスによる構造化は、出発点にすぎない。未来の戦略を創り出すには、マトリクスの右上(北東)を目指すパワーが求められる。
ボスコンのマトリクス
マーケット 成長率 |
問題児 | 花形 |
---|---|---|
負け犬 | 金のなる木 | |
マーケットシェア |
- 事業ポートフォリオ分析の草分け的なフレームワーク。
- 各事業は「負け犬」「金のなる木」「花形」「問題児」の4つに分けられる。
- これらのポートフォリオを、今後いかに動かすかが戦略の要諦。 負け犬が金のなる木に化けることもあれば、花形が負け犬に転落することも少なくない。 いまの構造をいかに突破するかを考える。
マッキンゼーの7Sフレームワーク
-
企業は、7Sのフレームワークで要素分解できる。
3つのハードS ストラテジー(戦略) ストラクチャー(組織構造) システム(仕組み) 4つのソフトS スタッフ(陣容) スキル(能力) スタイル(行動様式) シェアードバリュー(価値観) - 組織変革にあたっては、ハードSを変えることで、いかにソフトSを進化させるかを考える。
- 戦略や構造だけを変えても、企業は変わらない。 本質的な企業変革を仕掛けるためには、ソフトSを変えるために、 システム(仕組み)をいかにうまく埋め込むかがカギを握る。
- シェアードバリューは、内側の信念や価値観、スタイルはそれが外に現れた行動様式ととらえる。
- ハードSが手段、ソフトSが目的。
-
システムが変わることによって、スタイル(行動様式)が変わる。
結果的にはスキルやスタッフ(人の能力と規模)もそれまでとは違ったところで蓄積されてくる。
それらを通じて、中核となるシェアードバリュー(価値観)が変わっていく。
7章 分析の切れ味
- 答えは無数にあるし、軸も無数にある。 そこから、そぎ落として、そぎ落として、そぎ落として、2つの1番切れ味のいい軸を見つけて、 そのかなで、因果関係を得る。
- 競争優位(トレードオフ)から、学習優位(トレードオン)への転換が重要。
- 答えはひとつではなく、無数にある。
- ファクトはありものを使うのではなく、新しくつくる。 複数のデータを掛け合わせる、インタビューやアンケートを仕掛けることで、 新しいファクトが見えてくる。
- ビッグデータに振り回されてはならない。切れ味のいい仮説が決め手となる。
- シンプルにそぎ落とすことで、本質が見えてくる。
- 分析(微分)の後は、構築(積分)が勝負となる。
- 静止画的な「構造」ではなく、動画的な「流れ」をとらえる。
8章 ストーリーとしての戦略
マッキンゼーの問題解決10則
- 「問題」とされていることが、本質的な問題とは限らない。
- 大きな視野(Big Picture)でとらえ直す。
-
仮説から始める。
- データ分析からではなく、仮説から。
-
漏れなくダブりなく(MECE)、問題を構造化する。
- 大事だと思っているところ以外に見落としがないか。
-
カギとなる変数(Key Driver)にフォーカスする。
- 首を締めているポイント(チョークポイント)を探す。
-
できるだけ簡素(シンプル)化する。
- 何が変数で何が定数かを見極めて、公式化する。
- 正しい答えはひとつではない。
- 壊して、再構築する。
- ときに答えがふっと湧いてくる瞬間を大切にする。
-
問題がないことが最大の問題
- 問題が次の成長の機会になる。
- プレゼンには大きく2つのアプローチがある。 「サビ頭」でいくか、「ストーリーテリング」でいくか。 その企業の置かれた状況や、聞き手の期待値など、TPOで使い分ける。
- プレゼンで相手をうならせるだけでは、何も始まらない。 変革を実践し、組織の体質に落とし込むことではじめて、インパクトにつながる。
- そのためには、論破より共感がカギ。 危機感より使命感に火をつけることが重要。
第二部 一流コンサルのスゴ技
9章 大前研一の「ワープする脳」
イノベーションを起こす能力 |
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質問力 |
観察力 |
実験力 |
人脈力 |
関連付ける力 |
- 現在の延長線上ではなく、究極の時点から逆算する。
-
世界最強のコンサル大前研一氏の3つのパワー
右脳と左脳の連結力 森羅万象の連想力 究極からの逆算力 - 大前研一氏はまた、相手をその気にさせる名人でもあった。 その結果、彼の予想どおりになった。未来を作り出していたのだ。
10章 IQ・EQ・JQと「真善美」
- 真(IQ:知能)、美(EQ:心)、善(JQ:判断力)。
-
高いIQは、恐れられるが尊敬はされない。
高いEQは、共感されるが尊敬はされない。
尊敬されるのは、優れたJQだけ。
-
U理論の3つのプロセス
センシング ただひたすら観察する。 プレゼンシング 一歩下がって、内省する。内なる「知(knowing)」が現れるに任せる。 リアライジング 素早く、即効的に行動に移す。
- 何が善かを見極める力こそが、人間がAIに勝つ最後の砦。
- 右肩上がりの成長が限界を迎えつつあるいまこそ、 これまでのロジックを振りかざしてすぐに正解を求めるIQではなく、 何が善かをじっくりと見極めるJQが求められている。
- 鈴木俊隆禅師に師事したスティーブン・ジョブズが始めたマインドフルネス活動が世界中に拡がっている。
- マインドフルネスを理論化したのが、U理論で、最先端の人材育成や企業変革に活用され始めている。
11章 システム思考
システム思考 | 空間の広がりを体感 |
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非線形思考 | 時間の奥行きをとらえる |
- コンサルが何か問題を考えようとするときは、まず、フレームワークで見る癖がある。
- MECEになるようなフレームを考えるのが問題解決の第一歩。
- 基本的にはマトリクスが一番わかりやすくて、使いやすい。
- 全体を見せているようでいて、じつは、一部だけ切り取って見せているだけ、というのがフレームワークの特徴。
-
アウトへーベン
- 一見すると背反する関係にあるものが両立する高みを目指す。
-
システム思考的な発想法
- 二軸フレームワークから右上のイノベーションを生み出すときの考え方。
-
複雑系
- 相互に関連する複数の要因が合わさって全体として予測不能な振る舞いを見せるシステム。
-
創発(emergence)
- 部分の単純な総和にとどまらない性質が、全体として現れること。
- 創発こそがイノベーションをもたらす。
- MECEになるようなフレームを、原則二軸マトリクスで考えるのが、 問題解決の最初の一歩となるが、ひとつのマトリクスを作るとその中でしかものが見えなくなるデメリットもある。
- 要素分解すると一見きれいに見えるが、全体を見失ってしまう。これがポーター理論の限界であり、機械的な整理学に走りがちな未熟なフレーマーの限界。
- 「北東に進路をとる」ことによって、これまで二律背反(トレードオフ)だと考えられていた2つのポジションを、 両立(トレードオン)させる。どちらかをとる(OR)のではなく、両方とる(AND)場所を探す。それがイノベーション。
- ESG経営によって、さまざまなステークホルダーのWin-Winを目指すのが現代の経営の基本。
12章 非線形思考
VUCA(ブーカ)ワールド |
---|
Volatility 変動性 |
Uncertainty 不確実性 |
Complexity 複雑性 |
Ambiguity 曖昧性 |
-
フレームがあるからこそ、世の中の固定概念がどんなものかが分かる。
- このフレームを越えることがイノベーション。
-
トライ・アンド・ラーン
- プランニングに時間をかけず、まず実践してみる。
- するとマーケットが反応するので、それを読み取って、すぐに次のアクションをとる。
- トライしたあとに必ずラーン(学習)するところがポイント。
- これを極めたのがリーン・スタートアップ。
-
Minimum Viable Products(MVP)
- 最低限使える商品。
- リーンスタートアップのキーワード。
- 不完全な状態から商品をどんどんマーケットに出して、マーケットの反応を見ながら商品をどんどん進化させていく。
- 現代のように先が見えない時代の商品開発のあるべき姿。
- ユーザーのほうでも、これが完成品ではないことを承知している必要がある。
-
リーン・アンド・スケール
- 最初は小さく生むものの、その後、ガンガンとスケールアップさせていく。
- 0→1、1→10、10→100。
- 1桁ずつ、超スピードで規模を上げていく。
- 非線形モデル。
- 0→1のアイディアはコモディティ。
- 難しいのは、1→10へと、アイディアを事業にまで仕立て上げるプロセス。
- さらに難しいのは10→100へと、事業から業界デファクトスタンダードにまで広げること。プラットフォームとして他者に活用させる工夫が必要。
-
リーン・スタートアップのプロセス(勝ち筋を見極める方程式)
- 収益モデルの仮説をしっかり描くこと。
- 「価値PKI」(価値につながる行動や指標)を特定し、測定すること。
- PDCAを高速に回して、収益モデル仮説や価値PKIを検証すること。
-
ExOsという経営モデル
- Exponential Organizations (指数関数的成長企業)
- ExOsの共通特徴: MTP + SCALE IDEAS (アイディアをスケールせよ!)
-
MTP
- Massive Transformative Purpose(巨大で革命的な目的)
-
SCALE 〜外部向けの5つの仕組み
Staff on Demand 必要に応じて人材を外部からとる。 Community & Crowd 外部のコミュニティや集団と広く連携していく。 Algorithms パートナーとWIN-WINの関係を築き、非連続な成長を実現するための方法論に磨きをかける。 Leveraged Assets 他者の資産を活用する。 Engagement まわりを「その気」にさせる。
-
IDEAS 〜内部向けの5つの仕組み
Interfaces 部門間の壁を取り除く。 Dashboards KPIが一目でわかる計器盤。 Experimentation 実験。 Autonomy 自立経営。 Social Technologies SNSのフル活用。
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ExOsライトの実装方法
- 経営者がExOsモデルを十分に理解すること。
- ExOs企業とのパートナーリングを模索すること。
- ExOs的経営をエッジでトライ(周縁・辺境)すること。
-
「ゆらぎ」は周縁から起こる
- 本体の中枢は本業を守ろうとするため、破壊的なモデルは拒絶する。
- 海外支店や子会社などで、小さく実験的に取り組んでみるのがお勧め。
- 10の仕組みの一部を実験的に取り込んでみる。
-
「競争優位」から「学習優位」へ
- 20世紀後半までのように、競争ルールが明確なときには、他社に対して競争優位を築きやすい。
- 現代のように、そもそも競争ルールがまったく変わるような時代は、線形的な発想では生き残れない。
-
【学習優位】
失敗するかもしれないが、とにかく試してみる。そのような試行からどれだけ多くを学び、 どれだけ深められるかが勝負の分かれ道となる。 そして、そのような学習能力こそが、優位性につながる。 - 成長を続けるには、新しい分野で新たな学習を始動し続ける必要がある。
- 同じところで踏みとどまって学習するのではなく、学習の場を「ずらし」ていく。
- 既存の構造や従来の考え方にとらわれず、つねに新しい価値や意味を再構築し続けることが、 これからの先の見えない非線形の時代(VUCAワールド)に合った新しい考え方である。
-
脱構造には、
- 一芸で秀でる(深化)
- 強みを発揮できる領域をずらす(伸化)
- 突然変異的に新しいマーケット・領域を狙う(新化)
- 先が読めない時代には、詳細に計画を立てること自体、意味がなくなる。 PDCAは計画どおりに忠実に実施すればするほど、時代に置いていかれてしまう。 計画には時間をかけず、まず実践し、マーケットの反応に対応する「トライ・アンド・ラーン」を行う。
- 21世紀型企業は、指数関数的な成長カーブを描く。 これらの企業は共通して、大きく非連続な目標(MTP)を持っており、 外部をうまく取り込み、イノベーションを醸成するメカニズム(SCALE IDEAS)を持っている。
- マイケル・ポーター述べている競争優位の戦略論より、 新しいことにチャレンジして、そこから多くの新しいものを獲得していく「学習能力」こそが、 次世代成長を実現する。
第三部 コンサルを目指す、コンサルを超える
13章 コンサルを目指すあなたへ
-
コンサルになるための条件は、
- 左脳(ロジカル・シンキング)
- 右脳(パターン認識)
- 原体験(知的好奇心)
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うわべだけ見て通り過ごさずに、好奇心を持って生きていることがコンサルに大事な条件である。
るつぼ体験に代表される「原体験」をしておきたい。
- るつぼ体験・・・考えられないような悲惨な状況にいる人を目の当たりにしたり、自分がそういう悲惨な状況になったりした経験。
- いいコンサルになるためには、IQ、EQがあることは必要条件でしかない。 JQを持っていることが加わってはじめてコンサルに求められる条件を満たすことができる。
14章 コンサルを超えたいあなたへ
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ビジネスパーソンとしての基本的な能力
- 洞察力
- 共感力
- 人間力
洞察力 | Impact | 企業にとってもっとも大事なことが何かを見極める力 |
---|---|---|
Innovative | 今を越える(常識を超えられる)力 | |
Implementable | 実行できる力 |
共感力 | Simple |
---|---|
Spicy | |
Story |
人間力 | Perspective | ものの見方、自分らしい軸があるか |
---|---|---|
Personality | 人格、人徳、EQ、JQが感じられるか | |
Passion | 情熱、本気度がほとばしっているか |
-
セレンディピティ
- 当面の関心とは違うことにアンテナを張っていないと、ものの見方が極端に狭くなってしまう。
- 自分のストライクゾーンとは違うものに出会ったら、見逃さない。ちゃんと寄り道をする。
-
ノマド型
- 定期的な集団生活。あえて選ぶ「別れ」。
- 自分の持っている良さを行った先に移植しつつ、自分もそこから新しい良さを吸収し、一回り大きくなって次に行く。
- 自分を型にはめずに、あえて宙ぶらりんにしておく。
- つねに異質なものに触れて、異質なものと同化していく。
- 「自分の軸」は持ちつつ。
-
成長の限界
- 問題は、「キャパシティに余裕がなく、ケイパビリティをブラッシュアップする余力がない」という状態。
インプット時間 の規定 |
仕事に対して使える時間を規定してしまう。 | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
インプットタスク の絞り込み |
インパアクトがあって、かつ自分らしい能力が活かせるものを優先。
|
|||||||||||
プロダクティビティ (生産性)の向上 |
|
- 洞察力・共感力・人間力が自身の資源を磨くための大事な能力である。
-
予定調和的に何かを計画したところで、結局面白いものはでてこない。
本当に新しいことをしようと思ったら、セレンディピティ(予期せぬ出会いや偶然性)が必要。 -
個人のスキルは、ケイパビリティをブラッシュアップしていくことで高められる。
「インプット時間の規定」「インプットタスクの絞り込み」「プロダクティビティの向上」 により、個人の成長限界を突破できる。 -
反復や同質的な経験はポテンシャルの広がりを狭めてしまう。
もう一度ゼロベースで新しいものにチャレンジする勇気を持つことで、新しい風景が開ける。
15章 社会課題を解決したいあなたへ
- リーマンショック以降、社会課題の解決にかかわりたいと思うミレニアル世代が増えてきた。
マーケティング1.0 | 自社製品の存在や機能を知らせる。 |
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マーケティング2.0 | 消費者のニーズを吸い上げ、満足させる。 |
マーケティング3.0 |
ソーシャルメディアの発達、社会課題の顕在化、市場の成熟 ↓ 企業が解決すべき問題は、顧客課題ではなく社会課題。 |
-
CSV(Creating Shared Value)
- 社会課題を解決することで、社会価値を高めつつ、経済価値、すなわち自社の企業価値を高めようとするもの。
- 食糧問題・貧困問題・医療問題といった社会問題に対して、 コンサル技である問題解決は有効な解決手段となる。
-
社会課題への関心は、マーケティングの世界でも高まっている。
企業が解決すべき問題は、顧客課題から社会課題へとシフトしつつある。 -
社会課題に対し、公共事業やNPOでは収益を継続して生み続けることができない。
持続的な解決をおこなうためには、CSV(社会価値を高めつつ、経済価値、すなわち自社の企業価値を高めようとすること) を実現することが不可欠。 - 持続可能な社会の実現に向けて、人間の英知を結集していくこと、 そしてそのような志を持った社会課題解決型の人材が求められている。