- 考え方
- 債券
- 株
- 為替
- 不動産(マンション)
- 不動産(REIT)
- 著者の推薦書
考え方
- 「自分は相場などに関わりたくないので、無関係に生きます」という人は「自分は天候の変化、季節の変化に関わりたくないないので、毎日同じ服装で暮らします」と言っているのと同じ。
- 経済学を学んで合理的な思考法と判断力を身につけ、少しばかりの勇気があれば、景気の波も、バブルとその崩壊も黄金の波に変わる。
- 長期時間軸(数年以上)では市場価格はファンダメンタルな価値への回帰・収束を見せるのだ。ここにチャンスと希望がある。
- ピンポイントで予測することはできない。しかし起こり得る事態に対する備えがあるかなかで全く異なった結果になる。
- 徹底的に合理的に考えて、世の中の動きが一方向に傾きすぎてると感じたら、逆のことが起こる可能性に対して備えておく。
- 現実的に可能であり大切なのは「予測」ではなく、リスクに対する「準備」である。
- 分散投資(銘柄分散、購入タイミング分散)は重要であるが、住宅購入はそれができないので慎重に。
本書の2つの軸
資産価格とその変動 | 市場価格は、ファンダメンタルな価値に対して解離と回帰を繰り返す。 |
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実践的な知恵とスキル | 「現在価値」と「内部収益率(IRR)」を道具とする。 |
ファンダメンタルな価値
債券 |
(指標なし)(利回り5%以上?) |
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株 | (指標なし) | ||||||||
為替 |
相対的購買力平価(PPP:Purchasing Power Parity) 実質相場指数 |
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不動産 |
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収益還元法(DCF:Discoount Cash Flow)
-
以下が決まれば、資産を現在いくらで買えばよいのか適正価格が得られる。
- 資産を所有することで将来にわたって獲得できる収益(キャッシュ・フロー)
- 想定する割引率
現在価値
内部収益率(IRR:Internal Rate of Return)
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債券
- 好況で債券利回りが高くなっている時(米国債5%以上?)が長期固定金利の債券を買う時。
- 複利運用に適した債券はディスカウント債。償還までの期中に受け取る利息を全部再投資することを前提に購入時の価格が計算されている。
-
金利平価原理:円ベース米国債の投資リターンと日本債の投資リターンは同じになってしまう。
→為替ヘッジが大事。 - 米国の利回りの変動幅は大きい。日本は長いことデフレ状態なので小さい。
-
リーマン・ショック時
株 価格:40%下落 株と債券を50%づつ保有していれば
−16.3%で済んでいた債券 利回り:5.1% → 2.4%
価格:23.7%上昇
株
-
日本株はインデックスの積立が通用しない。対策:
- グローバル分散投資
- アクティブ運用?『日経平均を捨てて、この日本株を買いなさい。』に言及。
→ノート
為替
- 内外金利格差は長期になるほど為替相場の変化で相殺されて、高金利の外貨に投資しても、円金利並の投資リターンになる。(金利平価原理)
- 個人投資家は、外貨が十分に安いと判断できる時だけ外貨投資を増やし、逆に外貨が高すぎると思える時はリスクを減らし、それ以外の時は何もしなければいい。
相対的購買力平価
- 相対的PPP = 起点時点の名目相場 × (自国の物価指数 / 外国の物価指数)
- ある時点を起点に2通貨のインフレ率の比率から算出される為替相場の理論値。
- 貿易財が大半を占める企業物価(米国では生産者物価)から計算した相対的PPPが、長期的な為替相場の理論値として利用できる。
- http://www.iima.or.jp/research/ppp/index.html
実質相場指数
- 実質相場指数 = 名目相場 / 相対的PPP
- 平均値から+10%を上に超えるとドル割高(円割安)圏、ー10%を下に抜けるとドル割安(円割高)圏と筆者は判断している。
- ただし、円高・円安にどれだけ振れたら戻り始めるかについては規則性がない。したがって、一発決め打ちではなく、投資タイミングを複数回に分けること。
- アンカリングに注意。1ドル120円から100円になったからといってドル買いを始めてはいけない。適正価格に戻っただけかもしれない。しっかり割安になってから買うこと。
不動産(マンション)
- 住宅は、耐久消費財ではなく資産として扱うこと。
住宅 | 耐久消費財 | 消費・使用の対象であり、消費してしまえば価値はゼロになる。 |
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資産 |
経済的な価値の保蔵機能があり、利息・配当・賃料(帰属家賃)などの所得をもたらしてくれる。 価格変動次第で儲けや損も生じる。 |
株式 |
企業の収益は変動が極めて大きい。企業の寿命も不確か。 → ファンダメンタルな価値を推計することは事実上不可能。 |
---|---|
住宅資産 |
賃料は安定。寿命も想定しやすい。 → 基本的な勉強をすれば、ファンダメンタルな価値を推計することが可能。 |
住宅価格 | 借金をして購入されるため、目先価格が上がりそうだと判断されると、信用の膨張(借金の増加)に伴ってどんどん上がり得る。 | → |
賃料は住宅価格に比べ安定的。 PRR(Price Rent Ratio)が住宅価格の割安・割高の判断基準になる。 PRR = 住宅価格指数 ÷ 賃料指数 |
---|---|---|---|
賃料 | 借金をして賃貸を払う人はいない。 |
PRR(米国)
- 賃料指数の伸びはインフレ率と同じくらい。
PRR(日本)
- インフレ率が横ばいだから賃料指数も横ばい。
住宅・マンション投資で成功するための5つの鉄則
- 買う時は不況時、売る時は好況時。
-
中古マンションを徹底的に物色して安く買う。価格はDCF法(収益還元法)で点検する。
- キャップレート = 経費差引き後の年間賃料収益 ÷ 購入価格
- 築年数でキャップレートの基準は変わるため、経験則が必要。
- 現在価値とIRRを基準にすればよい。
- 老朽化率(年率2〜3%)を加味すると、中古物件のリターンはたった4%程度(6.5% - 2.5%)。鉄則①が重要になる。
- 空室リスクの低い物件を選ぶ。
-
2〜3割は自己資金を用意して、金利も複数の銀行を比較して低い金利で借りる。
- 日本の銀行は、所得のない人にお金を貸さない。マンション投資をするなら遅くとも40歳代から取り込む必要がある。
-
ワンルーム・マンションではなくファミリータイプ・マンションを優先する。
- ワンルーム・マンションは「住むために買う人が存在しない市場」。
不動産(REIT)
- REITの収益源である商業ビルの賃料の変化は、企業収益の変動に比べると遥かに安定している。
- 賃料データ(不動産証券化協会) http://index.ares.or.jp/ajpi-o-ja.php
- 賃料指数は過去10年、±10%のレンジに収まっている。
- 賃料は契約期間が満期にならないと改定できないので、遅効性がある。REIT指数は、賃料の変化を1年ほど先取りしている。
- 安定しているはずのREITがTOPIXよりも変動が大きかった。REITブームのせい。
P/NAV指標
- P/NAVインデックス(TMAX) http://www.tmaxv.co.jp/service_solutions/fund_forecast_latest1.html
- REITの資産評価が収益還元法で適切になされている限り、P/NAVは1.0前後で推移するはず。
REIT版のPRR
株との比較
PBR | 株価 ÷ 1株当りの帳簿上の純資産額 |
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P/NAV | REIT価格 ÷ 1口当りの時価評価の純資産額 |
PER | 株価 ÷ 1株当りの純利益 |
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PRR | REIT価格 ÷ 賃貸指数 |
著者の推薦書
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