リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください--井上達夫の法哲学入門
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井上 達夫
毎日新聞出版 (2015-06-15)
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- リベラリズム
- 正義概念
- 保守主義
- 戦争の正義
- パターナリズム
リベラリズム
- 基本的な価値は「自由」ではなく「正義」。
- 「自由主義」というよりも「正義主義」。
- リベラリズムの2つの歴史的起源:「啓蒙」「寛容」。
- 【啓蒙】理性の重視。因習や迷信を理性によって打破し、その抑圧から人間を開放する思想運動。
- 【寛容】宗教の違い・価値観が違っても共存しようという思想。
啓蒙 | 寛容 | |
---|---|---|
ポジティブ | ○理性の限界を見極める理性もある(カントの超越論的な理性批判) | ○他者からの批判を通じて自分自身が変容していく。 |
ネガティブ | ○理性の独断化:「おれの理性にもとづいて社会を根底から改革するんだ」 | ○批判はお互いにしない・聞かない。 |
- 啓蒙と寛容のポジティブ面を統合させるための規範的理念がリベラリズムの「正義」。
「正義の諸構想(conceptions of justice)」が共通して志向する正義概念
-
普遍化不可能な差別の排除
- 普遍化不可能な差別 = 自分と他者が反転したときに受け入れられない差別
-
フリーライダーの禁止
- 自分は便益を得るだけで、負担は他社に転嫁する。
- ダブルスタンダードの禁止
保守主義
- 理性が頼りないからこそ、人々が脈々と築きあげてきた伝統の方を重視する。
- 集合化された理性の絶対化。社会の伝統や歴史に埋め込められた集合的理性。
- 個人的理性は批判しているが、集合的理性を信頼してしまっている。
戦争の正義
積極的正戦論 |
○自分の信じる宗教・道徳の実現のために武力を使う。 |
---|---|
無差別戦争観 |
○国益追求の手段として、外交も戦争も区別しない。 |
絶対平和主義 |
○自衛のためでも戦争してはいけない。 |
消極的正戦論 |
○自衛のために必要不可欠であれば戦争する。 |
- 憲法9条は素直に読めば「絶対平和主義」。護憲なら自衛隊や安保も廃棄しなければならない。
徴兵制
- 徴兵制は、軍事力を持つことを選択した民主国家の国民の責任。
- 自分が戦場に出るコストを負うことで、戦争に慎重になる。
パターナリズム(paternalism; 父権的干渉主義)
- 強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益になるようにと、本人の意志に反して行動に介入・干渉すること。
- 民衆を愚民視しているエリートもバカ。みんなバカだから民主主義が必要。
- 民主主義は、われわれが自分たちの愚行や失敗を教訓として学習する政治プロセスを提供してくれる。
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