- 第1章 お金の正体
- 第2章 テクノロジーが変えるお金のカタチ
- 第3章 価値主義とは何か?
- 第4章 「お金」から解放される生き方
- 第5章 加速する人類の進化
第1章 お金の正体
- 中郷銀行が本格上的に普及したのはこの100年ほど。仮想通貨やブロックチェーンなどの新しい仕組みが100年後に標準になっていたとしても、おかしな話ではない。
-
経済は個人の欲望を起点に動くインセンティブのネットワーク
-
人間の欲望
- 本能的欲求
- 金銭欲求
- 承認欲求
-
ネットワークの特徴
- 極端な偏り
- 不安定性と不確実性
- 自発的な秩序の形成
- エネルギーの循環構造
- 情報による秩序の強化
- ↑3つをまとめると:「絶えずエネルギーが流れるような環境にあり、相互作用を持つ動的なネットワークは、代謝をしながら自動的に秩序を形成して、情報を内部に記録することでその秩序をより強固なものにする。」
-
人間の欲望
- 経済は「読み解く対象」から「創り上げていく対象」に変化しつつある。
-
経済システムの5つの要素+2
- インセンティブ - 報酬が明確である
- リアルタイム - 時間によって変化する
- 不確実性 - 運と実力の両方の要素がある
- ヒエラルキー - 秩序の可視化(年収・売上・順位・身分...)
- コミュニケーション - 参加者が交流する場がある
- 経済システムの「寿命」を考慮しておく - 寿命がきたら別のシステムに参加者が移っていけるような選択肢を複数用意しておく
-
「共同幻想」が寿命を長くする
- 「世界を変える」とは、前時代に塗り固められた社会の共同幻想を壊して、そこに新しい幻想を上書きする行為に他ならない。
-
マルクスの社会主義
- 私利私欲を否定
- 政府がコントロールする経済
- 競争の否定
第2章 テクノロジーが変えるお金のカタチ
- いま起きているのは、あらゆる仕組みの「分散化」。
- 分散化が進んでいくと情報やモノの介入だけでは価値を発揮できず、独自に価値を発揮する経済システムそのものを作ることができる存在が大きな力を持つようになる。
-
シェアリング・エコノミー
- ネットワーク化した個人を束ねて1つの経済システムを作り、人間には煩雑な支払いや中立性を求められるレビューのような最低限の機能だけを代理人として提供する立ち位置。
- 近代の「代理人型社会」と、これからの「ネットワーク型社会」の良いところを混ぜたハイブリッド型モデル。
-
評価経済
- 他者からの評価によって回る経済。
トークン・エコノミー
-
トークン
- ブロックチェーン上で流通する文字列。
- 「仮想通貨やブロックチェーン上で機能する独自の経済圏」のことをトークンと呼ぶようになった。
- 既存のビジネスモデルとの違い:経済圏がネットワーク内で完結している点。
- トークンエコノミーでは、特定のネットワーク内で流通する独自の通貨をトークンとして生産者が発行して、完全に独自の経済圏を作りだすことができる。
- 国家がやってきたことの縮小版を、トークンを用いて企業や個人が手軽にできる。
- トークンはバーチャル空間に存在するただの文字列データに過ぎないが、現実世界のアセットと結びつけることで、あらゆるものの価値を可視化することができる。
- 最も規模が大きく最も成功しているトークン・エコノミーはビットコイン。
自律分散
- 「自動化」と「分散化」の2つが混ざったときに起こるコンセプト →「自立分散」
- 全体を統合する中枢機能を持たず、自律的に行動する各要素の相互作用によって全体として機能する仕組み。
- 管理者がいなくて、個々がバラバラに行動しているのに、うまい具合にバランスを取りながら回るシステム。
- シェアリングエコノミー、ブロックチェーン、深層学習、IoTなどは、自律分散型の仕組みを実現するためのパーツ。
経済の民主化
- テクノロジーによって経済は「作る」対象になった。
- 活版印刷技術 → 知識の民主化
- 今日のテクノロジー → 経済の民主化
第3章 価値主義とは何か?
- 資本主義が考える価値があるものと、世の中の人の考える価値のあるものの間に大きな溝ができている。
- お金が価値を媒介する唯一の手段であったという独占が終わりつつある。
- 価値を保持・交換・測定する手段がお金である必要はなくなっている。
- クラウドファンディング等のネットの普及で、「他者からの注目」(フォロワー数)という貨幣換算が難しい価値を、好きなタイミングで人脈・金・情報という別の価値に転換することができる。
- 現代の財務諸表では、企業の価値を正しく評価できない。
- 産業革命時の、ものを製造したり、土地を売買したりするような事業を前提としている。
- ユーザ数や購買行動データ、人材などは、財務諸表に反映されない。
価値主義
- 資本主義(capitalism)から価値主義(valualism)へ。
- 「資本」ではなく、「価値」を中心とした世界。
- 資本主義上では意味がないと思われる行為も、価値主義上では意味がある行為になる。
- 「価値」をいつでもお金やお金以外のもに交換することができるようになる。
- お金は価値を資本主義経済の中で使える形に変換したものに過ぎず、価値を媒介する1つの選択肢に過ぎない。
-
価値の3分類
- 有用性としての価値 ーー役に立つか?
- 内面的な価値 ーー個人の内面にとってポジティブな効果を及ぼすか?
- 社会的な価値 ーー社会全体の持続性を高めるか?
- 資本主義の問題点は「有用性としての価値」のみを価値として認識して、他の2つを無視していた点。
- 内面的な価値であっても、数字データとして認識できれば、それをトークン化することにより独自の経済を作ることができる。→評価経済、信用経済
-
資本主義 マネーキャピタルを増やすことが上手い人(経営者・投資家)が力を持つ。 価値主義 ソーシャル・キャピタルを増やすのに長けた人も力を持てる。 - スマホやブロックチェーンなどのテクノロジーの普及によって、社会的な価値を軸にした独自の経済圏を、誰でもグローバルに簡単に構築できるようになる。
- 社会的に価値のある取り組みは利益を出しやすくなってきている一方で、 利潤のみを徹底的に追求する事業は短期的な利益を求めすぎて消費者に避けられてしまうか、 過剰競争に巻き込まれて長期的には収益を出しにくくなっている。 数十年後には「営利」「非営利」という区別はなくなり、 活動はすべて「価値」という視点から捉えられるようになる。
- ベーシックインカムがお金のコモディティ化(希少性の減少;価値の目減り)を急速に推し進める。
- 価値主義は、2つの大きな変化が混ざった1つの現象:
価値主義 | お金や経済の民主化 | 国家の専売特許とされていた通貨の発行や経済圏の形成が、誰でも簡単に低コストで実現できるようになりつつある。 |
---|---|---|
資本にならない価値で回る経済の実現 | 内面的な価値や社会的な価値をも可視化して、それらも経済として成り立たせることで、資本主義の欠点を補完することができるようになりつつある。 |
タイムバンク
- 「時間」を通貨とする経済システムの実験。「時間経済」
VALU
- 「個人の価値」を市場で決めてもらう仕組み。
- タイムバンクもVALUも、これまで曖昧だけれども誰もが価値があると感じていたものをネットを使って可視化し、経済の原理を適用することで新しい経済システムを作り出した。
デジタルネイティブ世代からトークンネイティブ世代へ
- トークンネイティブ世代:ビットコインやブロックチェーンに当たり前に触れて使いこなす世代。
第4章 「お金」から解放される生き方
-
衣食住が揃い、物質的に満たされる
↓
人生における目的・方向性・意義を失う
↓
この不完全燃焼のような感覚が多くの人を不幸にしている
- 人生の意義や目的とは欠落・欲求不満から生まれるものだが、 あらゆるものが満たされた世界ではこの人生の意義や目的こそが逆に「価値」になる。
- グーグルやフェイスブックのような企業が多くの優秀な人を惹きつけられるのは、給与や福利厚生ではなく、働く人たちに人生の意義や目的を提供していることが大きな要因。
資本主義経済 |
○儲けることが最優先。 |
---|---|
価値主義経済 |
○お金の価値が下がるため、金銭欲求は薄れ、モチベーションにはならない。 ○資本ではなく価値に着目すれば、チャンスは無数にある。 ○「人間の内面的な価値」に関しては、資本主義のなかで育った上の世代は認識ができないため、ここに大きなチャンスがある。 ○ゲーム課金など、シニア世代には理解不能。使用価値ではくくれない価値だから。 ○内面的な欲求を満たす価値を提供できる人が成功する。 |
第5章 加速する人類の進化
国家の今後
エストニアのような電子国家 |
巨大IT企業が国家の役割を担う |
無名の共同体がバーチャル国家として名乗りを上げる |
- 株式会社:理念を掲げて社会的な価値をより追求していく
- 宗教:内面的な価値を取り込み経済を形成する