- 第1章 欧米とは何か
- 第2章 日本とは何か
- 第3章 テクノロジーは世界をどう変えるか
- 第4章 日本再興のグランドデザイン
- 第5章 政治(国防・外交・民主主義・リーダー)
- 第6章 教育
- 第7章 会社・仕事・コミュニティ
はじめに
高度経済成長の正体 | 均一な教育 |
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住宅ローン | |
マスメディアによる消費者購買行動 |
第1章 欧米とは何か
- 「欧米」というものは存在しない。まったくの別物。一緒だと思っている西洋人はいない。「欧米」とは日本人の心の中にしかないユートビア。
- 「欧米」各国のいいとこ取りをしたつもりが、時代の変化によって悪いとこ取りになっているケースが目立つ。
- 日本人は「平等」には無頓着だが、「公平」にはこだわる。
平等 |
対象があってその下で、権利が一様であるということ。 何かの権利を1カ所に集めて、それを再分配することによって、全員同じ権利がある状態。 |
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公平 |
フェアだということ。 システムの中にエラー、ズル、不正、優遇がないこと。 |
- 日本人は、ゲームがフェアであることは意識するけれども、権利が平等であることはあまりいしきしない。
西洋思想 | 個人が神を目指す、全能性に近づいていく思想。 |
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東洋思想 | 自然。自然の中にある同質性・均質性にひもづいている。 |
- 個人に平等に権利を与えて、全員が良識ある判断をすると仮定する。→ ポピュリズムの台頭 = 西洋個人主義の限界
- 日本人には、西洋的な、依存なき個人に立脚する考え方は戦略的に向いていない。
- 日本人には仕事と生活が一体化したワーク・アズ・ライフのほうが向いている。
- 個人として異端にはなりにくいが、集団として異端になるのは得意。個人ではなく、バンドを組んでイノベーションを起こせばいい。
- いろんなコミュニティがあって、複数のコミュニティに所属しつつ、そのコミュニティを自由に変えられることが重要。
- 日本の2000年代のIT政策は、長期的にはまずかった。IT鎖国できなかったせいで、中国のようにアリババやテンセントやバイドゥを生むことができなかった。
- 欧州型、米国型への今までの盲信を自覚し、独自のアジア型社会を創造していくべき。
- 平成は、昭和モデルからの脱却ができず、先人の遺産を食いつぶしただけで終わろうとている。
- 平成が終わろうとしている今の時期は、我々のものの考え方を変えるいいタイミング。
第2章 日本とは何か
- 出雲政府と大和朝廷の勢力争い
- ↑ 日本の統治構造を形づくる上で決定的な影響をもたらした。
- → 大和が勝ち、天皇という概念を中心にして日本は統治されていく。
中臣鎌足 による大化の改新- ↓
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律令政治の始まり。日本の基本スタイルが生まれる。
天皇 日本の中心に天皇制という概念を王制として持ってくるが、天皇は政治をしない。
宗教的な立脚点。
官僚 政治をするのは官僚。
法制や法律を決める。
官僚主導の管理経済型の仕組み。
- ほかの国は「誰が王様になるか」という王座の争いを、1500年代まで繰り返していたが、日本は他国に先んじて今の統治構造に到達した。
一般的な宗教 | イエスやブッタのようなカリスマ性のある開祖が存在。 |
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日本の宗教 |
統治者と国が国策として宗教組織を生み出した。 神話を編纂し、イザナギ、イザナミという神の物語を編み、その子孫が天皇であるとした。 大和が出雲を滅ぼさなかったから、天皇一神にならなかったのでは。 国教を定義することなく新興を定義できてしまった。 |
- カーストは幸福のひとつの形・・・「自由がなく不幸」ではなく「安心かつ
康寧 」 - 生業の保証が幸福につながる。
士 | 政策決定者、商業創造者、官僚 |
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農 |
一般生産、一般業務従事者 これから重要になるのは「百姓的な」生き方 (ポートフォリオ・マネジメント) 「多動力こそ百姓」 |
工 | アーティスト、専門家 |
商 | 金融商品や会計を扱うビジネスパーソン |
- マスメディアがカーストを破壊(「商」の人気化)。罪深いのはトレンディードラマと拝金主義。
- 文化とは、人の知の蓄積そのものであって、それは一番価値が高い。
- アーティスト・・・人類が蓄積してきた美の最大到達点をさらに更新しようとしている人
- 博士・・・人類が蓄積してきた知の領域を外に広げる人
- アーティストや博士は社会的価値が高いが、ゼロサム世界の金融人は価値が低い。
- 拝金主義的な考えを変えるために大事なのは、文化であり、美意識であり、その基礎となる教育である。
第3章 テクノロジーは世界をどう変えるか
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20世紀というのは「デザイン」と「マス」という概念ができた世紀。
- エジソンが電気製品をつくって売り、
- フォードが自動車を大衆化した。
- 「エジソンとフォード境界」の更新に必要なのは、統計的なコンピュータ処理。
体験の自動化 |
体験が無意識になり、コンピュータに支えられることで生活の中に溶け込んでいくこと。 たとえば、ゲームを行うことが生活の中に組み込まれ健康増強にもつながっていたりするようなこと。 (VR、MR、空間ホログラム、自動運転) |
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3次元化と 生産の個別化 |
今まで2次元の映像や2次元の印刷メディアなどを用いてコミュニケーションしてきたことや 大量生産品を扱って皆で同じものを共有してきたことを超え、 空間に対して3次元の表現を行うことや計算機を使ってカスタマイズすることを指す。 (3Dプリンティング、人の介在しないCAD設計) |
- ソフトウェアとハードウェアを自由に行き来し、データの蓄積によって個別かと多様性を生みだすフレームワーク(=機械学習、人工知能、ディープラーニング)
- いま起きているのは、個別化と多様化を生み出すためのコンピューテーショナルな変革。
- 個別最適化のための関数の名称が、総じて「人工知能と呼ばれているもの」。
絵画 | 映像 | 魔法 | |||||||||
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近代 | 産業革命 | 現代 | ポストモダン | ||||||||
18c | 19c | 20c | 21c | ||||||||
Craft | Design | Computation | |||||||||
Personalize | Mass | Diversity | |||||||||
全体不便性 | 価格を下げる | 計算機ソフ トウェア化 |
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コミュニケ ーション消費 |
コンテンツ消費 | コミュニケ ーション消費 |
自動運転
- もしタクシーが自動運転になったら、手紙がEメールになったときのように、ものすごく頻繁に自動運転タクシーを使うようになる。
- 最適な経路を選んでくれるので、渋滞のストレスはなくなる。
- 家や土地、路線価という概念も意味がなくなる。
- 移動の概念が変わる。移動が自然に溶け込む。Transportation as Nature、End to End Transportation
- これからの自動車企業は、道具ではなく、生活様式、ライフスタイルを定義するブランドになる。
5G
- 5Gの恩恵=空間伝送(ほかの人と3次元空間を共有すること)
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オフラインの自動運転からオンラインの自動運転へ
- センサーではなく、5Gによる車間コミュニケーション
- テレプレゼンスロボティクス(遠隔手術、遠隔介護など)
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デジタルネイチャー
- 人、Bot、物質、バーチャルの区別がつかなくなる世界。
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人と機械が融合する自然
- メガネというテクノロジーによって、近視で目が悪くても、それを障害と考えない。
- 「オンラインでない=何かやましい」と言われる時代へ。
- プライベートという単語の持つ意味合いは変わり、情報がオープンであるのが当たり前になる。
- Amazon Echoで育った子どもたちが20年後に主役になれば、音声コミュニケーションが普通になる。
第4章 日本再興のグランドデザイン
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人口減少と少子高齢化はチャンス
- 自由化・省人化に対する打ち壊し運動が起きない。
- 高齢化へのソリューションを生み出すことができれば最強の輸出戦略になる。
- 人材の教育コストを多くかけることができる。
- 日本では今、機械化が正義。
- 2060年になったら中国は日本並みに高齢化。そのときは中国にロボットを含めたサービスが売りたい放題。
- 中臣鎌足のポジションが機械化されたAIでも、象徴が人間(天皇)であれば、我々は別に違和感を覚えない。
ブロックチェーン
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【ブロックチェーン】
あらゆるデータの移動歴を、信頼性のある形で保存し続けるためのテクノロジー。
誰かが一元的に管理するのではなく、全員のデータに全員の信頼をつけて保っていくことができる。
非中央集権的なテクノロジー。 - 仮想通貨により生まれる経済圏がトークンエコノミー。
- トークンとは、仮想通貨とほぼ同義。
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今までは、中央銀行が発行した通貨を中心とする、中央集権的な経済圏しかなかった。
トークンエコノミーが普及すれば、非中央集権的にさまざまな経済圏をつくることができるようになる。 -
【ICO】
会社だけでなく、個人でも、プロジェクトでも、市や県、国だって上場できる。 -
【トークンエコノミー】
ポイントカード経済圏がさらに広がって、企業だけでなく個人もポイント発行できるようになるイメージ。
- 日本は古来より、中央集権だったことはほとんどない。地方自治こそが日本に合っている。
- 民主主義を地方自治重視にアップデートする。あらゆる地域お主体の参加意識をもう一度地方に戻す。
- 財政はICOで賄う。
- 先行投資型へのモデルチェンジ。
- トークンエコノミーは将来価値を現在価値に転換する仕組み。
- デジタル商品のほとんどがシリコンバレーのプラットフォーム経由で扱われている。植民地みたいなもの。
- こうした状況に終止符を打ち、ローカルな経済圏をつくるための武器となるのが、ブロックチェーン化であり、トークンエコノミー化である。
第5章 政治(国防・外交・民主主義・リーダー)
- 地方分権が進んだら、中央政府の求心力が弱くなるので国防が重要。
- 自動化してミサイルを撃ち落としたり、ロボットに自衛してもらえばいい。機械化自衛隊を持つことは道義上も正当化できる。
- 外交の最重要テーマはインド。日本が最も仲良くすべきなのはインド。
- 中国のリスクファクターは「人口」。
- 北朝鮮は、数年以内に武力衝突。
第6章 教育
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新しい日本で必要な2つの能力
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ポートフォリオ・マネジメント
- 日本人はみな百姓(100の生業を持つ人)になる。職業のポートフォリオを組みながら暮らしていくことになる。
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金融的投資能力
- 「何に張るべきか」を予測する能力。
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ポートフォリオ・マネジメント
第7章 会社・仕事・コミュニティ
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日本経済・再興戦略の3つの柱
- ホワイトカラーおじさんの社外アウトソース
- 男女のフェアな扱い
- 年功序列との決別