2019年8月18日日曜日

『サーチ・インサイド・ユアセルフ』

  • サーチ・インサイド・ユアセルフ
  • 1. エンジニアでさえEQで成功できる 〜EQとは何か、EQはどうやって育めばいいか
  • 2. 命がかかっているかのように呼吸をする 〜マインドフルネス瞑想の理論と実践
  • 3. 座らないでやるマインドフルネス・エクササイズ 〜マインドフルネスの恩恵を座った姿勢以外にも広げる
  • 4. 100パーセント自然でオーガニックな自信 〜自信につながる自己認識
  • 5. 情動を馬のように乗りこなす 〜自己統制の力を伸ばす
  • 6. 利益をあげ、海を漕ぎ渡り、世界を変える 〜セルフモチベーションの技術
  • 7. 共感と、脳のタンゴ 〜相手を理解し、心を通わせることを通して共感を育む
  • 8. 有能であってしかも人に愛される 〜リーダーシップと社会的技能
  • 9. 世界平和への三つの簡単なステップ 〜SIYの裏話
  • 空き時間に世界を救おう
サーチ・インサイド・ユアセルフ
SIYの3つのステップ
注意力のトレーニング
  • 注意力は高度な認知能力や情動的能力の基礎。
  • 注意力を鍛え、穏やかであると同時に明瞭な心を生み出す。
自己認識自制
  • 鍛え上げられた注意力を使い、 自分の認知的プロセス思考プロセス高い解像度で知覚する。
  • → 自分の思考の流れや情動のプロセスを明瞭に観察できるように。
  • 自制を可能にする深い自己認識を生み出す。
役に立つ心の習慣の創出
  • 「この人が幸せになりますように」と反射的に思う習慣。

1. エンジニアでさえEQで成功できる
〜EQとは何か、EQはどうやって育めばいいか
EQの定義
  • 自分自身と他人の気持ちや情動をモニターし、見分け、 その情報を使って自分の思考や行動を導く能力。

EQ、5つの分類
自己認識 自分の内面の状態、好み、資質、直感を知ること。
自己統制 自分の内面の状態、衝動、資質を管理すること。
モチベーション 目標達成をもたらしたり助けたりする情動的な傾向。
共感 他人の気持ち、欲求、関心を認識すること。
社会的技能 他人から望ましい反応を引き出すのに熟達していること。

EQの恩恵
優れた職務遂行能力 強い達成意欲と高い達成基準
影響を与える能力
抽象的思考力
分析能力
難題を引き受けるイニシアティブ
自信
抜群のリーダーシップ ポジティブ
社交的
情動表現が豊か
愛想が良い
人懐っこい
民主的
協力的
穏やか
幸せのお膳立てをする能力
  • 幸せとは「ずば抜けて健全な心から湧き起こる、好調の極みにあるという深い感覚」
  • 幸せはトレーニングで身につけることができる技能。
  • 幸せはEQを養うのに伴う、避けようのない副作用。

神経可塑かそ
  • 私たちが考えたり、したり、注意を払ったりすることが、脳の構造と機能を変える
  • トレーニングによって脳を意図的に変えられる。
  • 穏やかさや明瞭さをもたらす強くて安定した鋭敏な注意は、EQを築き上げる土台。
  • 自己認識自分を客観的に眺める能力があってこそのもので、 客観的に眺めるには、自分の思考情動第三者の立場から眺める能力を必要とする。
  • 情動に翻弄されるのではなく、 情動と同化するのではなく、 ひたすら情動を明瞭に客観的に眺める
  • そのためには、安定していて、明瞭で、評価や判断とは無縁の注意が求められる。

反応柔軟性
  • 行動を起こす前にを置く能力
  • 刺激と反応とのあいだには間隔がある。その間隔に、反応を選ぶ私たちの自由と力がある。
  • 私たちの反応の中には、成長と幸せがある。
  • 穏やかで明瞭な心は、その間隔を広げてくれる。

マインドフルネス
  • 特別な形、つまり意図的に、今の瞬間に、評価や判断とは無縁の形で注意を払うこと。
  • 自分の意識を今の現実に敏感に保つこと。

情動
  • 識別可能な自律神経系の変化あるいは身体的な変化を特徴とする基本的な生理状態。
  • ただの心理的経験ではなく、生理的経験でもある。
  • 情動は、心よりも体で鮮明に経験できる。
  • 鍛え上げた強力で安定していて鋭敏な注意力を自身の体に向ける。
  • 注意を体に向けることにより、情動を高解像度で知覚できる。
  • 情動が湧き起こってくる瞬間、増減するときの微妙な変化、消えて無くなる瞬間…
  • 例:怒り
    • 胸と額を締め付けられる感覚や浅い呼吸といった身体的な感覚に注意を払う。
  • 体を高解像度で知覚する能力を育む。

2. 命がかかっているかのように呼吸をする
〜マインドフルネス瞑想の理論と実践
瞑想
  • 瞑想はたんなる心のトレーニング
  • 瞑想の科学的な定義
    • 実践者を特別な種類の心のプロセスに馴染ませるようにデザインされた、 一群の心のトレーニング活動。
  • 瞑想の長い伝統をもつ古代社会においてさえ、 瞑想は魔法のようなもの、謎めいたものとはみなされてはおらず、 ただの心のトレーニング。
  • 瞑想には多くの種類がある。マインドフルネス瞑想はそのなかの1つ。

マインドフルネス瞑想で鍛える2つの重要な能力
注意
  • 心によって明瞭で鮮明な形で占有すること。
メタ注意
  • 注意自体に注意を払う能力
  • 自分の注意がそれたことを知る能力
  • メタ注意をもつのは、集中力を保つ秘訣。
  • メタ注意が強くなると、注意がそれてもすばやく頻繁に復元できる。

リラックスしていて、隙のない状態
  • 瞑想
  • → 「心がリラックスしていて、隙のない状態」に行きつける。
  • → 心の素晴らしい3つの特質が自然に現れてくる
    • 穏やかさ
    • 明瞭さ
    • 幸せ
  • おりのたまった水
    • 壺を揺らすのをやめれば、水は鎮まり、澱が底にたまり、水は透き通る。
  • 幸せは心の基本設定デフォルト状態
    • 心は穏やかで明瞭になると、基本設定に戻る。その基本設定というのが幸せな状態。
    • 幸せは追い求めるものではなく、自ら可能にするものである。
    • これまで世界中でさんざん幸せが追い求められてきたというのに、 持続可能な幸せは、自分の呼吸に注意を向けるだけで達成できる。

瞑想は筋トレみたいなもの
  • 呼吸から注意がそれ、それをもとに戻すたびに、 筋肉を収縮させるのと同じで、 注意の「筋肉」が少し強くなる。

    悪い瞑想などというものはない。

瞑想中に気が散ってしまったら
  • 呼吸のプロセスに注意を戻し、たんに注意の集中を回復する
  • 注意を戻す行為が筋トレであること思い出す。
  • 自分自身に対する態度を自覚する。
    • 自分が自分に対し、どれほど頻繁にひどい陰口をつぶやいているか、考える。
    • その態度を優しさと好奇心に替える。
    • 愛情に満ちた祖母の目で自分を眺める。

3. 座らないでやるマインドフルネス・エクササイズ
〜マインドフルネスの恩恵を座った姿勢以外にも広げる
  • さまよう注意を自発的に繰り返し引き戻す能力は、分別や人格、意思の根源にほかならない。
    それなしでは、いかなる者も自分の主とは言えない。
  • 注意は、快いものや不快なものに向かう。

    訓練によって、呼吸のようにどちらでもないものへ注意を向け続けられるようになれば、 ほかのどんなものにも注意を向け続けられる

座らないでやるマインドフルネス
  • どんな課題をこなしているときにも、評価や判断とは縁のない心をもって、 注意がそれだすたびに、ただそっともとに戻してやる。

他人に向けたマインドフルネス
  • 評価や判断とは縁のない心で、一瞬一瞬の注意をすべて別の人に向け、 注意がそれだすたびに、ただそっともとに戻してやる。
  • 自分の注意は、私たちが他人に与えることのできる最も価値ある贈り物

喜ばしいマインドフルネス
  • 穏やかな種類の喜びに、注意を向ける。
    (呼吸に注意を向けるよりも簡単)
  • フォーマルな瞑想と組み合わせるとよい。

「スッカ」=「エネルギー不要の喜び」
  • 瞑想により備わる特質。
  • いつもバックグラウンドに流れているホワイトノイズのような幸せ。
  • エネルギーが不要なので持続性が高い。
  • とても静かな心にしかアクセスできない。
  • スッカにアクセスするには心を鎮めなければならない。
    感覚的なインプットは必要ない。
    人生が変わるとは、まさにこのこと。

「集中した注意」と「開放的な注意」
集中した注意 特定の対象に対する強烈な集中。
開放的な注意 心や五感を訪れるものなら何にでも喜んで応じる注意。
万物に降り注ぐ日差しや、たえず風にそっと揺れている草、どんなときにも喜んでどんな形もとる水のような注意。

瞑想の進歩
  • 瞑想の進歩は指数関数
  • 変化は急に訪れる。
  • 漸修頓悟ぜんしゅうとんご
    • 漸・・・ゆっくり
    • 修・・・修める
    • 頓・・・急に
    • 悟・・・悟る

4. 100パーセント自然でオーガニックな自信
〜自信につながる自己認識
自己認識の領域
情動の自覚 自分の情動とその影響に気づくこと ○自分の情動を明瞭に捉える。
○自分を第三者の視点から眺められる。
○情動経験について客観的になれる。
正確な自己査定 自分の長所と限界を知ること ○自分の長所と短所について正直になれる。
○自分の優先事項と目標がはっきりしている。
○ありのままの自分がしっくりくる。
自信 自分の価値と能力を強く実感すること

  • 自信とは、富士山ほど大きくなると同時に、取るに足りない砂粒ほど小さくなれる能力。
  • 自分の失敗モードと復元モードを理解すれば自信につながる。

情動
  • 情動は自分が感じるものにすぎず、自分ではない。
  • 情動は、自分の存在そのものではなく、自分の経験するもの。
  • 情動はただの生理的現象。

  • 思考と情動はに似ていて、美しいものもあれば、暗いものもある。
    一方、私たちの核を成す存在はのようなもの。
    雲は空ではなく、空で起こる現象で、現れては消える。
    同様に、 思考と情動は私たち自身ではなく、心と体で起こるたんなる現象で、現れては消える。

5. 情動を馬のように乗りこなす
〜自己統制の力を伸ばす
自己統制の領域における5つの情動的能力
自制心 破壊的な情動や衝撃を抑える
信頼性 正直さと誠実さの基準を維持する
良心性 自分の振る舞いに責任をとる
適応性 変化に柔軟に対応する
革新性 新奇な考え方やアプローチや新しい情報を気兼ねなく受け入れる

自己統制
  • 自己統制とは
    • 情動を避けることではない。
    • 本当の気持ちを否定したり抑えつけたりすることではない。
    • 特定の情動をけっして抱かないことではない。
  • 思考や情動が湧き起こるのを防ぐことは不可能。
  • 忌まわしい思考や情動が湧き起こるのは防げないものの、 それを手放す力はもっているし、 鍛錬を積んだ心ならば、そうした思考や情動は、 湧き起こるそばから手放せる。

執着と嫌悪を捨てる
  • 至道無難 唯嫌揀択しどうぶなん ゆいけんけんじゃく
    • 至道無難、ただ揀択を嫌う
    • 心が自由そのものになり、好みにさえ執着しなければ、至道(まことの道)はもはや難しくない。
  • 執着と嫌悪を捨てる。
    • 執着・・・心が何かに必死にしがみついて放そうとしない状態
    • 嫌悪・・・心が何かを必死になって遠ざけ、それに近づくのを拒む状態
  • 執着と嫌悪は、感覚や知覚とは別個。
    • 肉体的な痛みがあり、それとは別に嫌悪の経験がある。
    • 痛み自体ではなく嫌悪が苦しみの心の原因であり、痛みはその嫌悪を生み出す感覚にすぎない。

  • 愉快な経験そのものは何も苦しみも引き起こさないが、 私たちがそれにしがみつき、終わらないでほしいと必死に願うために、苦しみが生まれる。
  • 枯れる花は苦しみを引き起こさない。花が枯れないようにという非現実的な願いが苦しみを生み出す。

苦悩に対処するための一般原理
  1. 痛みがないときを知る。
  2. いやになることにいやにならない。
  3. 怪物どもに餌をやらない。
  4. あらゆる思考を優しさとユーモアをもって始める。

  • 自分を責めるのではなく、苦悩は自然に湧き起こる現象だと気づくことが重要。
  • いやになることにいやになるのは、エゴ。
  • 私たちは怪物どもが現れるのを止められないし、 やつらを追い払うこともできないが、 餌をやるのをやめる力ならもっている。
  • 自分の心が自分に向かってひとつ、あるいは複数の話を繰り返し語ることで、たえずその怒りをあおっている。
  • 怒りの怪物は、あなたの怒りに満ちた話という餌を必要としている。
  • 自分のしくじりにユーモアを見いだす。私の人生は壮大な喜劇。

誘発トリガーに対処する
  • トリガー
    • 一見すると些細な事柄が、不釣り合いなまでに大きな情動反応を引き起こすこと。
  • 対処法
    • トリガーされたとき、そうと知ること。
    • 【肉体】  呼吸が浅くなる、鼓動が速まる、むかむかする
    • 【情動】  闘争・逃走反応を経験し、情動の爆発(扁桃体によるハイジャック)を起こすか
    • 【思考】  被害者のような気持ちがする、非難や批判が頭に浮かぶ、注意を払うのが困難になる
    • トリガーの裏には長い過去がある。「あの人はまたあんなことをしている」
    • 自分は不適格であるという思いと結びついている。

大脳新皮質 視床 ・聴覚・触覚・体内からの感覚が経由する場所。
一次感覚野 一次視覚野
一次聴覚野
一次体性感覚野
連合野 頭頂連合野 「空間的な情報」を認識する。
前頭連合野 「形や色の情報」を認識する。
側頭連合野 推測、判断、調整、意思決定などを行う。
運動野 行動を起こすための命令を出す場所。
脳幹 運動野の命令が経由する場所。

大脳基底核 扁桃体 恐怖・不安・怒り
側坐核 快楽・報酬・やる気

大脳新皮質 人間的な活動の実行センター
扁桃体 感情に関する活動の実行センター

大脳辺縁へんえん 扁桃体 感情
海馬 記憶

扁桃体 ストレス反応を起こす。
「闘うか逃げるか反応(Fight or Flight Response)」
注意回路をハイジャックする。
感情として意識する。
恐怖や不安といいた意識的な感情が生まれ、さらに扁桃体を刺激し続ける。

前頭前野=前頭連合野 内側前頭前野 扁桃体のコントロール
外側前頭前野 注意のコントロールネットワーク
  • 注意コントロール
  • セルフ・コントロール
  • ワーキングメモリー
  • 目標設定と意思決定

  • マインドフルネス瞑想 = 前頭前野の注意コントロール機能を強化

シベリア北鉄道
  • SiBerian North RailRoad
Stop 停止する
Breathe 呼吸する
Notice 気づく
情動的な難しさを自分の存在そのものにかかわる現象としてではなく、 たんに生理的な現象として経験しようとする。
「私は怒りそのものだ」→「私は体で怒りを経験している」
Reflect よく考える
Respond 反応する

6. 利益をあげ、海を漕ぎ渡り、世界を変える
〜セルフモチベーションの技術
3種類の幸せ 快楽(ロックスター)
情熱(フロー状態)
崇高な目標

  • 時間とエネルギーの大半を費やして崇高な目標に取り組み、
    ときどきフローを楽しみ、
    たまにロックスターのような快楽を味わう。

モチベーション
を高める
整合性(仕事と崇高な目標とを整合させる)
想像(望ましい未来を想像する)
回復力(障害を克服する能力)

真の
モチベーション
自律(自分の人生を自分で導きたいという衝動)
熟達(もっと上手くなりたいという欲望)
目標(より大きいもののためにしたいという強い思い)

楽観主義
  • 自分がネガティブな経験へ偏っているのを自覚する。
  • 自分の経験に対する客観性を生み出す。(マインドフルネス)
  • 挫折が一時的なものかもしれないことを示す現実的な証拠に意識を集中する。 現実的な希望をもてる理由を示すような証拠を見つけ、それに集中する。
7. 共感と、脳のタンゴ
〜相手を理解し、心を通わせることを通して共感を育む
8. 有能であってしかも人に愛される
〜リーダーシップと社会的技能
9. 世界平和への三つの簡単なステップ
〜SIYの裏話
空き時間に世界を救おう
推薦図書