2018年9月4日火曜日

『新世界秩序』

  • 第Ⅰ部 古代・中世の世界秩序 〜武力宗教による統治
    • 第1章 人類が初めて創り出した世界秩序 【紀元前】
    • 第2章 宗教による世界秩序 【1世紀〜12世紀】
  • 第Ⅱ部 資本主義による世界秩序の進展
    • 第3章 商人による世界秩序 【14〜16世紀】
    • 第4章 大西洋に移行した世界秩序の中心 【1600年〜1815年】
    • 第5章 グローバルな世界秩序の整形 【1815年〜1914年】
  • 第Ⅲ部 世界秩序の現在
    • 第6章 パックス・アメリカーナの拡大と衰退 【1914年〜】
    • 第7章 世界秩序の現状
  • 第Ⅳ部 21世紀の新世界秩序はどうなるのか?
    • 第8章 無政府化・カオス化する世界
    • 第9章 新世界秩序の構想のために
    • 第10章 新世界秩序への戦略

  • 20世紀初めのグローバル化が挫折した後に国家の規模で起きたことが、21世紀には地球規模で発生するかもしれない。
    つまり、民族への回帰である。
    そのアイデンティティと文化を守り、世界を統治するという大義を宣言し、領土的野心を持った独裁者の再登場である。
    いくつかの潜在的に全体主義的なイデオロギーが、野心を揚げて登場しようとしている。
    1つは宗教原理主義、もう一つはナショナリズムを揚げるポピュリズムである。
第Ⅰ部 古代・中世の世界秩序 〜武力宗教による統治
第1章 人類が初めて創り出した世界秩序 【紀元前】
  • 世界初の統治機関は
  • 人間のなかから、世界を統治する権力を持つと僭称せんしょうする、司祭軍人が現れる。
  • 自らを神の子孫と称し、広大な世界を統治するようになる・・・帝国
第2章 宗教による世界秩序 【1世紀〜12世紀】
  • この世の統治者であるだけでなく、あの世の統治者でもあろうとしたキリスト教。
  • キリスト教会と帝国権力は、同盟を結んだり、対抗したりしつつ、一体となってその支配する世界をどんどん拡大していった。
第Ⅱ部 資本主義による世界秩序の進展
第3章 商人による世界秩序 【14〜16世紀】
  • 帝国拡大の手段・・・戦争
    商人世界の拡大手段・・・平和
  • 世界の「中心都市」の登場
    • 世紀ごとに異なる西洋の一都市が、通信ネットワークと市場を統括する権力を奪取していく。
    • 頭脳やお金が集積し、経済危機や戦争によって他の都市へと移動する。
    • 東から西に移動する。



1200 - 1350年
(150年)
ブリュージュ
(現ベルギー)
○西洋における貿易の中心都市に。
○毛織物工業はヨーロッパ随一。
○港が泥で埋まる。
1350 - 1500年
(150年)
ヴェネチア
(現イタリア)
アジアとヨーロッパの交差点。
インド洋や地中海から来るスパイス、オリエントやエジプトから来る絹織物を買い付け、ヨーロッパに転売。
オスマン帝国によるコンスタンティノポリスの陥落→シルクロード封鎖→アジアとの通商路が遮断
1500 - 1560年
(60年)
アントウェルペン
(現ベルギー)
○ほかで達成された大きな技術革新を産業に応用。活版印刷技術

印刷技術

・いろいろな言語の文法書→ラテン語の地位に疑問
・帝国の一体性に疑問
・神父が話していること≠聖書 に気付く
・他の宗教・知識が存在することに気付く

・帝国と協会の権力を弱める
1560 - 1620年
(80年)
ジェノヴァ
(現イタリア)
○史上初の金市場
○商業と金融に専念
○ヨーロッパ全域の諸侯に金・銀を融資。フィレンツェの商業・繊維産業に出資。
○スベインの破産で弱体化
第4章 大西洋に移行した世界秩序の中心 【1600年〜1815年】
1620 - 1788年
(168年)
アムステルダム
(現オランダ)
○商人の理想を揚げた商人の統治のもとに7つの州が集結して、1つの独立した国オランダとなった。
○いままでと違ったのは、頂点に立ったのが商人だったという点。
プロテスタンティズムによって、富の所有に関係するあらゆる罪責感が払拭される。
○武力はいつでも商業の後ろ盾。オランダ海軍は世界最強に。
第5章 グローバルな世界秩序の整形 【1815年〜1914年】
1788 - 1890年
(102年)
ロンドン ○アメリカという重荷から解放
交通・通信の分野で著しい技術革新・・・蒸気船、蒸気機関車、電信
○視覚的通信から電気的通信へ
○アフリカ、インド、カナダ、オーストラリアを支配
○正真正銘の地球規模
自由貿易を世界中に押し付けた
金本位制、固定相場制・・・各国の貨幣発行量は、その国の金の準備額によって制限される。
○グリニッジ天文台が世界標準に。


○蒸気自動車に速度制限(赤旗法)(町中3.2km/h、郊外6.4km/h)(1865年)
○アメリカ南北戦争→奴隷解放→綿花急騰
○アメリカで新興銀行が出現
  • マルクス『共産党宣言』(ドイツ)
    • 社会主義は、資本主義の後に建設されるべきものであり、それに取って代わるものではない。
    • 社会主義は世界的なものであるべきで、一国だけのものであってはならない。
    • 社会主義の到来は不可避。資本主義は凋落する運命にある。
    • 資本主義の凋落を促進するためには、労働者への搾取を減らす必要がある。世界中の労働者が再結集しなければならない。

  • チャールズ・ダーウィン『種の起源』『人間の進化と性淘汰』(1857年)
    • 人間という種の一体性を説く。

  • 第1回オリンピックがアテネで開催(1896年)
    • スポーツという絆によって諸国民のあいだを結びつければ、戦争の脅威を終わらせることができる。
  • FIFA(国際サッカー連盟)の設立(1904年)
  • ノーベル財団の設立(1900年)・・・国際競争の精神は科学の世界でも

  • フランスが自動車を世界で初めて開発。しかし、馬車に毛が生えたものぐらいにしか見ていなかったので、大量生産を拒否。

  • 第一次世界大戦(1914年〜1918年)
    • オーストリア=ハンガリー帝国の皇太子が暗殺。犯人は、ボスニアのセルビア王国への併合を求める大セルビア主義を揚げる組織の一員。
    • オーストリア=ハンガリー帝国とその同盟国(ドイツ、オスマン帝国)
    • vs. セルビア王国とその連合国(ロシア、フランス、イギリス、日本、遅れてイタリア、アメリカ)
第Ⅲ部 世界秩序の現在
第6章 パックス・アメリカーナの拡大と衰退 【1914年〜】
  • これまでの中心都市と違って、国際的な制度機関を設立することによって自身の権力を包み隠し、その機関に平和貢献させようとした。
  • 民主主義を地球規模にまで一般化することを望んだ。
  • 最初のG2
    アメリカ イギリス
    アメリカ ロシア
    アメリカ 中国
  • ヴェルサイユ講和条約の調印(1919年6月)
    • アメリカ(ウィルソン大統領):国際連盟の設立に固執
    • フランス:敗戦国に最大限の賠償を課し、永遠に弱体化させよう
    • イギリス:植民地の拡大と金本位制の防衛
  • ナショナリスティックかつ人種差別主義的イデオロギー
    • ヒトラー
      • ユダヤ人が世界を支配しようとしている。
      • フランス人は人種的に遠いので、ドイツの農業倉庫として奉仕すればよい。
    • ムッソリーニ
      • 古代ローマ帝国の復活を。
      • 古代ローマが衰退したのは、優れたローマ人が、劣った他の人種と接触しすぎたせい。

  • 1929年、世界恐慌
    • 金本位制をがむしゃらに維持してきたことによって、西洋世界は景気後退に。

  • 第二次世界大戦(1939年〜1945年)
  • 1945年、国際連合の創設
    • 決定を下すのは戦勝国(とりわけアメリカとソビエト連邦)

  • 1962年10月、キューバ危機
    • アメリカと対立していたキューバにソ連が核ミサイルを配備

1890 - 1929年
(39年)
ボストン
1929 - 1980年
(51年)
ニューヨーク
1980 - ?年 ロサンゼルス 大西洋から太平洋へ。
○日本の可能性もあった。高度成長、黒字収支、未来のテクノロジーの支配、世界有数の港。 アメリカのほうが、日本よりも、海外の有能な人材を惹きつける術をよく心得ていて、 また時代遅れになった企業を閉鎖することに躊躇がなかった。


  • 1985年、ゴルバチョフがソ連大統領に。
    • 状況が一変。米ソ関係が雪解け。
    • レーガンとゴルバチョフは、史上初めて軍縮条約に署名。
  • ソ連崩壊
  • アメリカが唯一の超大国に。
    • 冷戦後の世界秩序
      • 自由の帝国
      • 自由 = アメリカ企業がそのビジネスを展開するための自由
    • ブッシュ(父)とクリントンの統治期間に、アメリカ史上最も多くの軍事介入

  • 5つの衝撃
2001.9.11 同時多発テロ ○テロリズムによるグローバリゼーション(世界の西洋化)の否定
○ビンラディンとザワヒリが「世界イスラーム戦線」(ユダヤ・十字軍に対する聖戦のための国際イスラーム戦線)というネットワークへの参加を呼びかけ
○世界の無秩序は、アメリカとその同盟国が世界中の人民に対して企んでいる陰謀、と見る。

○この間、中国とインドが、世界の政治経済の舞台に返り咲く。
2000年前後〜 インターネット、
検索エンジン、
携帯電話、
SNSの登場
○人類の成員どうしのつながりを強化。
○各国政府は、コンテンツの管理に失敗。
2008年 世界金融危機 ○市場はグローバル化されたが、法の支配はグローバル化されていなかった。
○金融市場の拡大による富の集中は、サラリーマンを犠牲にしたので、 サラリーマンは銀行から借金をせざるを得ない一方で、 銀行はその利益を再投資するためにハイリスクな投資商品を仕立て上げて、 ただ自らの利益のためだけにそれを地球全体にばらまいていた。

アメリカはこの問題を既存の国際機関には訴えず、G20サミットに任せた。

米中という新たなG2体制が確立。
2010年〜 自由化への動き ○上記3つの衝撃の結果として起こった。
○ジャスミン革命(チュニジア)
○エジプト革命
○アラブの春
2013年3月11日 東日本大震災 ○福島第1原発で炉心融解と格納容器破損
○テクノロジーの脅威を世界規模で管理する必要性が意識される機会に。
第7章 世界秩序の現状
  • 宗教帝国 → 軍事帝国 → 市場帝国
  • ついに帝国は、きわめて複雑な1つの世界秩序を人類に授けた。
  • この世界統治は、宮廷・大統領・首都・官庁・警察・軍隊・裁判官・戦略を備えていないように見える。
  • 自らの存在を自覚する意識すら備えていないように見える。
  • 法の支配を尊重させる術を持っていない。
  • 多くの国々が、お互いに補完しあい、絡み合い、対立し合いながら参加している権力の集合体に過ぎない。
  • 各国政府の活動の延長に過ぎない。とりわけ、アメリカ政府の活動の延長
  • 厳密な意味では世界統治機関が存在しない
  • 人類が自らのことを意識していない。
  • 人権については同じ概念を共有している。
  • 地球の現実や人類のアイデンティティに対する意識が、徐々に芽生えてきている。
  • 今日ほど地球の住民がお互いに依存しあっている状態は、いまだかつてなかった。
  • 情報伝達のコストが削減され、地球上で起きている出来事を瞬時に知ることができるようになるにつれ、人類の相互依存度も大きくなってきている。
  • テクノロジーの劇的な変化は、個人主義を促進する素晴らしい道具をもたらしたのと同時に、透明性・民主主義・そして人類の自分自身に対する意識をも大幅に加速した。

  • 西洋の衰退ではなく、世界の西洋化が起こっている。
    地球の文化的アイデンティティが一本化されている。
    • 物質的な恩恵を望む(家、自動車、洗濯機、テレビ、パソコン、といった物)
    • 自由を望む(移動の自由、思想の自由、自国を離れる自由、支配者を批判する自由、支配者を交代させる自由)
  • 印刷技術が出現したとき、既存の権力がそれによって強化されるだろうと人は考えたけれども、実際はそうはならなかった。(宗教改革) インターネットによって、強国の価値基準はばらばらにされ、最後の帝国の一本性は破壊され、雑種の民主主義世界ができた。

  • 三番目のG2体制
    • アメリカと中国
  • 数え切れないほどの国際機関
    • 引き綱はアメリカに握られている
国際機関 政府間機関 超国家期間 参加国の利益に左右されることなく決定を下すことができる
世界貿易機関(WTO)、国際司法裁判所
多国間機関 参加国の出会いの場、各国の立場と利益の調整の場
国際連合、国連の付属機関(国連教育科学文化機関(ユネスコ)、国連食糧農業機関、国連民主主義基金、国際通貨基金(IMF)、国際原子力機関(IAEA))
民間機関 同業組合的な機関 民間企業を糾合する
非政府組織(NGO)
  • 国際機関がしていることは、ほとんど加盟国感の力関係の調整だけ。
第Ⅳ部 21世紀の新世界秩序はどうなるのか?
第8章 無政府化・カオス化する世界
  • 過去の帝国がそうだったように、アメリカ帝国はライバルたちとの競争において、 自国を脅かすものしか重要と見なさず、人類全体を脅かす可能性のあるものに、 本気になって取り組もうとはしてこなかった。
  • システミック・リスク
    • 個別の問題が他に波及し、さらにシステム全体を脅かすことを言う。
    • さまざまな問題の総体としてシステミック・リスクとなる。
      • 人工の巨大化、 世界の画一化、 金融システムのコントロール不全、 武器の拡散、 環境汚染の拡大、 資源の希少化、 テクノロジーの進化、 非国家勢力の拡大、 犯罪勢力の拡大
  • 10番目の中心都市 = アメリカは存続する
    • 帝国には、その時代で最も重要なコミュニケーション・ネットワークを支配する手段が備わっていなければならない。
    • 世界最大の軍事力
    • ドルは世界の主たる準備通貨であり続ける
    • 才能ある人々を惹きつける
    • テクノロジーの革新
    • 高等教育、研究開発
    • 芸術的創造
    • デジタル・ネットワークの中心
  • アメリカは新しいテクノロジー ―おそらくナノテクノロジー― を中心に、力強く成長し続ける。
  • 多くの問題が、大きな1つの同じ流れ、および、その流れに対する反動に属している。
    • 【大きな1つの流れ】
      グローバル化によって人々の個人化が進み、個人はますます自立し、 自らの人生についての自己決定権が強まり、 個人がますます尊重されなければならなくなる結果として、 国家の弱体化が進む。
    • 【その流れに対する反動】
      秩序なき画一化への反発から、アイデンティティが過度に強調され、 他のアイディンティティとの緊張をもたらしている。

      原理主義や独裁的なポピュリズムが世界各地に台頭し、差別主義や排外主義が高まっている。
  • 多かれ少なかれ無秩序な個人の自由と、 多かれ少なかれナショナリズムの色合いを持つ市場の独裁との、 激しい対立に向かって突き進んでいる。
大きな流れ 反動
○グローバル化、個人化
国家の弱体化
○国家権力の破壊
○自由と自律
○誰もが他人と同じだけの尊重と配慮を受ける権利を持つ
孤立の世界
○いかなる連帯関係も成立しない世界
○さまざまな領域が自衛に動く
○自分自身の将来のコントロールを失うことに耐えられない
○自分自身の将来をつかみ直す、あるいは初めてつかむ機会とする
○アイデンティティの過度な強調
○原理主義、ポピュリズム、右派の台頭
○差別主義や排外主義の高まり
【例】ブロックチェーンによる仮想通貨の台頭

中央銀行なしで通貨を発行できる
= 国家権力の破壊

「共通の通貨によって組織される連帯」が失われる
第9章 新世界秩序の構想のために
第10章 新世界秩序への戦略