- 3つの金利(政策金利・10年国債利回り・社債利回り)
- 3つの景気サイクル(信用・金融政策・在庫)
- 金利と景気サイクル
- 信用サイクル
- 米ドルと新興国
- 現状確認方法
- 季節に合った商品選び
3つの金利
金利 | 変動要因 |
---|---|
政策金利 (短期金利) |
金融政策 |
10年国債利回り (長期金利) |
金融政策 |
社債利回り | 企業の信用力 |
3つの景気サイクル
周期 | サイクル | |
---|---|---|
信用サイクル | 10年 |
【リスクオフ局面】 調達金利上昇<景気下向き> ↓ 【財務緊縮局面】 借入縮小 <信用回復> ↓ 【リスクオン局面】 調達金利低下<景気上向き> ↓ 【レバレッジ局面】 借入拡大 <信用悪化> ↓ … |
金融政策サイクル | 5年 |
【秋】景気減速(様子見) ↓ 【冬】金融緩和(利下げ) ↓ 【春】景気回復(様子見) ↓ 【夏】金融引き締め(利上げ) ↓ … |
在庫サイクル | 2.5年 |
【在庫増】売れ行き不振による ↓ 【在庫減】生産減による ↓ 【在庫減】売れ行き好調による ↓ 【在庫増】生産増による ↓ … |
金利と景気サイクル
春 | 夏 | 秋 | 冬 | ||
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景気循環 | 景気 | 回復 | 過熱 | 減速 | 後退 |
金融政策 | 様子見 | 利上げ | 様子見 | 利下げ | |
金利の動き | 短期金利 | 横ばい | 上昇 | 横ばい | 低下 |
長期金利 | 上昇 | 穏やかな上昇 | 低下 | 穏やかな低下 | 長短金利差 | (長期-短期) | 拡大 | 縮小 | 縮小 | 拡大 |
ポイント①:短期金利は慎重派、長期金利は行動派
- 春に長期金利が上昇すると、夏に短期金利が上昇。
- 政策金利の変更は景気を確認しながら慎重に行われるため、短期金利は1季節遅れる。
- 金融政策の様子見期間は1年程度あることが多い。
- 長短金利の動きにも1年程度のタイムラグが生じる。
ポイント②:長短金利差は景気の「先行指標」
- 長短金利差は、長短金利の動きの違いから、季節の移り変わりを知らせてくれる。
- 長短金利差の1%割れ →ISM製造業景況指数の50割れを懸念すべき。
- 長短金利差の0%割れ →景気後退局面入りの可能性大。1年後に注意。
ポイント③:長短金利差がマイナスになったら冬接近
- 夏の終わりに短期金利が長期金利を上回る「逆転状態」。
信用サイクル
- 信用サイクル=銀行の融資姿勢
- 10年サイクル
- 銀行の融資姿勢を追うことは難しいので「社債利回り」を使う。
- 信用サイクル(10年)の一番悪い時に、金融政策サイクル(5年)と在庫サイクル(2.5年)が重なると、世界を巻き込む危機が起こる。S&L危機、ITバブル崩壊、世界金融危機。
- 銀行の融資姿勢を追うことは難しいので「社債利回り」を使う。
④財務緊縮局面
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①リスクオン局面
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③リスクオフ局面
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②レバレッジ局面
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信用サイクルと銀行の収益ポケット
①リスクオン局面 |
引当金の戻し 過去の景気後退局面で不良債権化に備えた引当金の戻し 金利収入の増加 = 融資残高 × 利ざや |
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②レバレッジ局面 |
非金利収入の増加 証券・保険・投信の取引手数料やM&A仲介 |
③リスクオフ局面 |
費用の削減 人員リストラなど |
④財務緊縮局面 |
金利収入の増加 利下げによる長短金利差の拡大から利ざや拡大 |
社債スプレッド
- 社債スプレッド=10年社債利回り-10年国債利回り
- 株価は見た目、社債スプレッドは性格を表す。
④財務緊縮局面
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①リスクオン局面
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③リスクオフ局面
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②レバレッジ局面
|
- リスクオフ局面の株価下落を避けるには、レバレッジ局面に入ったことに気づくことが大切。
- リスクオフ局面とレバレッジ局面は、株価の動向は似ているが、社債スプレッドは対照的な動きを見せる。
信用サイクル | 銀行 | 企業 |
---|---|---|
①リスクオン局面 | 「喜んで貸します」 | 積極性が強味 |
②レバレッジ局面 | 「少し不安、でも貸します」 | 見た目に騙されるな、本質を見抜け |
③リスクオフ局面 | 「検討しましたが、残念です」 | メッキがはがれる |
④財務緊縮局面 | 「元気になったら、また」 | 生まれ変わる |
信用サイクル | 株式 | 社債スプレッド |
---|---|---|
①リスクオン局面 | ▲上昇 | ▽縮小 |
②レバレッジ局面 【要注意】 |
▲上昇 | △拡大 ★①と②、株では区別が付かないが社債スプレッドなら |
③リスクオフ局面 | ▼下落 | △拡大 |
④財務緊縮局面 | ▼下落 | ▽縮小 |
スワップスプレッド
- 変動金利と交換の対象となる固定金利を「スワップ金利」と言う。
- スワップスプレッド = スワップ金利 - 同年限国債利回り
- 金利上昇を予測 → 固定金利の需要増 → スワップスプレッド拡大
- 金利低下を予測 → 固定金利の需要減 → スワップスプレッド縮小
- 現在、社債スプレッドは拡大しているが、スワップスプレッドは縮小している。もうレバレッジ局面orまだリスクオン局面?
M&Aの増加
M&Aの増加 |
[銀行融資が活発] 信用サイクル = レバレッジ局面 |
[失業率低下(労働者不足)の中で業務や人材の一括取得] 景気サイクル = 春から夏 |
米ドルと新興国
World Dollar = 米国のマネタリーベース + FRBが保管する海外中銀の米国債金額
基本サイクル
米国 | 経済 | 好調 2001-2003 |
鈍化 2006-2009 |
↓ |
---|---|---|---|---|
貿易赤字 | 拡大 2002-2005 |
縮小 2006-2010 |
↓ | |
米ドル流出 | 増加 | 減少 | ↓ | |
中国 | 為替 | 米ドル安 2002-2008 |
米ドル高 2008-? |
↓ |
米ドル外貨準備高 | 増加 2006-2012 |
減少 2014-? |
↓ | |
実質的な金融政策 | 緩和 | 引締め | ↓ | |
経済 | 好調 2010ピーク |
鈍化 2014-? |
↓ |
- 米ドルでの外貨準備高が主に新興国の景気を表す。
- ドル安 → 新興国の為替介入 → 外貨準備増=金融緩和 = 好景気
- ドル高 → 外貨準備減=金融引締め = 景気悪化
-
時間差がとても大きい:
- 米好景気 → ドル安
- 米不景気 → ドル高
- 近年、米景気が回復しても貿易赤字が拡大しない。←シェール革命のため
米金融政策サイクルと新興国経済
現状確認方法
いまが、
金融政策サイクルのどの季節か、
信用サイクルのどの局面か、
を見極める。
金融政策サイクルのどの季節か、
信用サイクルのどの局面か、
を見極める。
金融サイクルの季節(春夏秋冬)を見極める。
- 金利政策
- 米ドル
- 長短金利差
信用サイクルの局面(リスクオン、レバレッジ、リスクオフ、財務緊縮)を見極める。
- スワップスプレッド
- 社債スプレッド
- 銀行融資姿勢
- デフォルト率
- 企業借入
投資環境スコア
項目 | リンク | 直近 ① |
1年前 ② |
計算方法③ | 判定基準 | 個別 スコア④ |
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政策金利 | 【政策金利】Effective Federal Funds Rate | 前年差=①-② |
③ ≦ 0.25 → +2 ③ > 0.25 → -2 |
|||
長短金利差 |
=【10年国債利回り】-【政策金利】 【10年国債利回り】10-Year Treasury Constant Maturity Rate |
- | 水準=① |
③ ≧ 1 → +2 1 > ③ ≧ 0 → 0 ③ < 0 → -2 |
||
社債 スプレッド |
【社債スプレッド】Moody's Seasoned Baa Corporate Bond Yield Relative to Yield on 10-Year Treasury Constant Maturity | 前年差=①-② |
③ ≦ 0 → +2 ③ > 0 → -2 |
|||
スワップ スプレッド |
=【社債スプレッド】-【政策金利】 【スワップ金利】10-Year Swap Rate |
前年差=①-② |
③ ≦ 0.1 → +2 ③ > 0.1 → -2 |
|||
米ドル指数 | 【米ドル指数】Trade Weighted U.S. Dollar Index: Major Currencies | 前年比=①÷② |
③ ≦ 1 → +2 ③ > 1 → -2 |
|||
投資環境スコア⑤ |
季節に合った商品選び
景気への反応順(アセットクラス)
-
REIT
銀行からの借り入れが大きいため、金利に敏感。 -
HY社債
レバレッジ局面の段階から信用力低下から調達コスト上昇。国債スプレッドは拡大。 - 株式
景気への反応順(株式カテゴリー)
景気サイクルに鈍感
- 公益株(電力、水道、ガス)
景気サイクルに敏感
景気回復局面初盤(早期に底打ち)~中盤
- 銀行
利下げ局面での長短金利差の拡大が収益拡大につながる。 - 小売
ガソリン価格低下の恩恵を受ける。 - 住宅
ローン金利低下の恩恵を受ける。 - ナスダック(ハイテク、IT関連)
企業のIT投資が拡大。 - 資本財
企業の機械・車両・工場への投資が拡大。
- 素材
商品市況上昇の恩恵を受ける。
米ドル円
基本は米利上げ = 円安ドル高ただし約1年の時間差がある。
2012年以降は、米利上げがなかったにも関わらず、すでに円安。日本サイドの要因によるものであり、2015年12月の利上げから1年後にさらに円安?