2016年3月27日日曜日

『金利を見れば投資はうまくいく』

金利を見れば投資はうまくいく
堀井 正孝
クロスメディア・パブリッシング(インプレス) (2016-01-22)
  • 3つの金利(政策金利・10年国債利回り・社債利回り)
  • 3つの景気サイクル(信用・金融政策・在庫)
  • 金利と景気サイクル
  • 信用サイクル
  • 米ドルと新興国
  • 現状確認方法
  • 季節に合った商品選び
3つの金利
金利 変動要因
政策金利
(短期金利)
金融政策
10年国債利回り
(長期金利)
金融政策
社債利回り 企業の信用力
3つの景気サイクル
周期 サイクル
信用サイクル 10年 【リスクオフ局面】
調達金利上昇<景気下向き>

【財務緊縮局面】
借入縮小  <信用回復>

【リスクオン局面】
調達金利低下<景気上向き>

【レバレッジ局面】
借入拡大  <信用悪化>


金融政策サイクル 5年 【秋】景気減速(様子見)

【冬】金融緩和(利下げ)

【春】景気回復(様子見)

【夏】金融引き締め(利上げ)


在庫サイクル 2.5年 【在庫増】売れ行き不振による

【在庫減】生産減による

【在庫減】売れ行き好調による

【在庫増】生産増による



金利と景気サイクル
景気循環 景気 回復過熱減速後退
金融政策 様子見利上げ様子見利下げ
金利の動き 短期金利 横ばい上昇横ばい低下
長期金利 上昇穏やかな上昇低下穏やかな低下
長短金利差 (長期-短期) 拡大縮小縮小拡大
ポイント①:短期金利は慎重派、長期金利は行動派
  • 春に長期金利が上昇すると、夏に短期金利が上昇。
  • 政策金利の変更は景気を確認しながら慎重に行われるため、短期金利は1季節遅れる。
  • 金融政策の様子見期間は1年程度あることが多い。
  • 長短金利の動きにも1年程度のタイムラグが生じる。
ポイント②:長短金利差は景気の「先行指標」
  • 長短金利差は、長短金利の動きの違いから、季節の移り変わりを知らせてくれる。
  • 長短金利差の1%割れ →ISM製造業景況指数の50割れを懸念すべき。
  • 長短金利差の0%割れ →景気後退局面入りの可能性大。1年後に注意。
ポイント③:長短金利差がマイナスになったら冬接近
  • 夏の終わりに短期金利が長期金利を上回る「逆転状態」。
信用サイクル
  • 信用サイクル=銀行の融資姿勢
  • 10年サイクル
  • 銀行の融資姿勢を追うことは難しいので「社債利回り」を使う。
  • 信用サイクル(10年)の一番悪い時に、金融政策サイクル(5年)と在庫サイクル(2.5年)が重なると、世界を巻き込む危機が起こる。S&L危機、ITバブル崩壊、世界金融危機。
  • 銀行の融資姿勢を追うことは難しいので「社債利回り」を使う。
④財務緊縮局面
銀行 融資姿勢が改善へ
企業 借入返済を優先
信用力回復
①リスクオン局面
銀行 融資を拡大
企業 収益性が向上
信用力高
③リスクオフ局面
銀行 融資を縮小
企業 収益性が悪化
信用力低
②レバレッジ局面
銀行 融資姿勢が慎重へ
銀行ローンの商品化(CDO, CLO)
企業 借入拡大に積極的
信用力悪化
レバレッジ比率高
信用サイクルと銀行の収益ポケット
①リスクオン局面 引当金の戻し
 過去の景気後退局面で不良債権化に備えた引当金の戻し
金利収入の増加
 = 融資残高 × 利ざや
②レバレッジ局面 非金利収入の増加
 証券・保険・投信の取引手数料やM&A仲介
③リスクオフ局面 費用の削減
 人員リストラなど
④財務緊縮局面 金利収入の増加
 利下げによる長短金利差の拡大から利ざや拡大
社債スプレッド
  • 社債スプレッド=10年社債利回り-10年国債利回り
  • 株価は見た目、社債スプレッドは性格を表す。
④財務緊縮局面
銀行 融資姿勢が改善へ
企業 借入返済を優先
信用力回復
株価下落
社債スプレッド縮小
①リスクオン局面
銀行 融資を拡大
企業 収益性が向上
信用力高
株価上昇
社債スプレッド縮小
③リスクオフ局面
銀行 融資を縮小
企業 収益性が悪化
信用力低
株価下落
社債スプレッド拡大
②レバレッジ局面
銀行 融資姿勢が慎重へ
銀行ローンの商品化(CDO, CLO)
企業 借入拡大に積極的
信用力悪化
レバレッジ比率高
株価上昇
社債スプレッド拡大
  • リスクオフ局面の株価下落を避けるには、レバレッジ局面に入ったことに気づくことが大切。
  • リスクオフ局面とレバレッジ局面は、株価の動向は似ているが、社債スプレッドは対照的な動きを見せる。
信用サイクル銀行企業
①リスクオン局面 「喜んで貸します」 積極性が強味
②レバレッジ局面 「少し不安、でも貸します」 見た目に騙されるな、本質を見抜け
③リスクオフ局面 「検討しましたが、残念です」 メッキがはがれる
④財務緊縮局面 「元気になったら、また」 生まれ変わる

信用サイクル株式社債スプレッド
①リスクオン局面 ▲上昇 ▽縮小
②レバレッジ局面
【要注意】
▲上昇 △拡大
★①と②、株では区別が付かないが社債スプレッドなら
③リスクオフ局面 ▼下落 △拡大
④財務緊縮局面 ▼下落 ▽縮小
スワップスプレッド
  • 変動金利と交換の対象となる固定金利を「スワップ金利」と言う。
  • スワップスプレッド = スワップ金利 - 同年限国債利回り
  • 金利上昇を予測 → 固定金利の需要増 → スワップスプレッド拡大
  • 金利低下を予測 → 固定金利の需要減 → スワップスプレッド縮小
  • 現在、社債スプレッドは拡大しているが、スワップスプレッドは縮小している。もうレバレッジ局面orまだリスクオン局面?
M&Aの増加
M&Aの増加 [銀行融資が活発]
信用サイクル = レバレッジ局面
[失業率低下(労働者不足)の中で業務や人材の一括取得]
景気サイクル = 春から夏
米ドルと新興国
World Dollar = 米国のマネタリーベース + FRBが保管する海外中銀の米国債金額
基本サイクル
米国 経済 好調
2001-2003
鈍化
2006-2009
貿易赤字 拡大
2002-2005
縮小
2006-2010
米ドル流出 増加 減少
中国 為替 米ドル安
2002-2008
米ドル高
2008-?
米ドル外貨準備高 増加
2006-2012
減少
2014-?
実質的な金融政策 緩和 引締め
経済 好調
2010ピーク
鈍化
2014-?
  • 米ドルでの外貨準備高が主に新興国の景気を表す。
  • ドル安 → 新興国の為替介入 → 外貨準備増=金融緩和 = 好景気
  • ドル高 → 外貨準備減=金融引締め = 景気悪化
  • 時間差がとても大きい:
    • 米好景気 → ドル安
    • 米不景気 → ドル高
  • 近年、米景気が回復しても貿易赤字が拡大しない。←シェール革命のため

米金融政策サイクルと新興国経済
現状確認方法
いまが、
金融政策サイクルのどの季節か、
信用サイクルのどの局面か、
を見極める。
金融サイクルの季節(春夏秋冬)を見極める。
  • 金利政策
  • 米ドル
  • 長短金利差
信用サイクルの局面(リスクオン、レバレッジ、リスクオフ、財務緊縮)を見極める。
  • スワップスプレッド
  • 社債スプレッド
  • 銀行融資姿勢
  • デフォルト率
  • 企業借入
スワップスプレッド 2年
社債スプレッド 【BBB10年】BofA Merrill Lynch US Corporate BBB Option-Adjusted Spread
銀行融資姿勢 【基準を厳格化した銀行の割合】Net Percentage of Domestic Banks Tightening Standards for Commercial and Industrial Loans to Large and Middle-Market Firms
デフォルト率 【商工業ローンの貸倒償却率】Charge-Off Rate On Business Loans, All Commercial Banks
企業借入 【国債金融安定性報告書(IMF)】
投資環境スコア
項目 リンク 直近
1年前
計算方法③ 判定基準 個別
スコア④
政策金利 【政策金利】Effective Federal Funds Rate 前年差=①-② ③ ≦ 0.25 → +2
③ > 0.25 → -2
長短金利差 =【10年国債利回り】-【政策金利】
【10年国債利回り】10-Year Treasury Constant Maturity Rate
- 水準=① ③ ≧ 1 → +2
1 > ③ ≧ 0 → 0
③ < 0 → -2
社債
スプレッド
【社債スプレッド】Moody's Seasoned Baa Corporate Bond Yield Relative to Yield on 10-Year Treasury Constant Maturity 前年差=①-② ③ ≦ 0 → +2
③ > 0 → -2
スワップ
スプレッド
=【社債スプレッド】-【政策金利】
【スワップ金利】10-Year Swap Rate
前年差=①-② ③ ≦ 0.1 → +2
③ > 0.1 → -2
米ドル指数 【米ドル指数】Trade Weighted U.S. Dollar Index: Major Currencies 前年比=①÷② ③ ≦ 1 → +2
③ > 1 → -2
投資環境スコア⑤
季節に合った商品選び
景気への反応順(アセットクラス)
  1. REIT
     銀行からの借り入れが大きいため、金利に敏感。
  2. HY社債
     レバレッジ局面の段階から信用力低下から調達コスト上昇。国債スプレッドは拡大。
  3. 株式
景気への反応順(株式カテゴリー)
景気サイクルに鈍感
  • 公益株(電力、水道、ガス)
景気サイクルに敏感
景気回復局面初盤(早期に底打ち)~中盤
  • 銀行
     利下げ局面での長短金利差の拡大が収益拡大につながる。
  • 小売
     ガソリン価格低下の恩恵を受ける。
  • 住宅
     ローン金利低下の恩恵を受ける。
  • ナスダック(ハイテク、IT関連)
     企業のIT投資が拡大。
  • 資本財
     企業の機械・車両・工場への投資が拡大。
景気回復局面終盤
  • 素材
     商品市況上昇の恩恵を受ける。
米ドル円
基本は米利上げ = 円安ドル高
ただし約1年の時間差がある。
2012年以降は、米利上げがなかったにも関わらず、すでに円安。日本サイドの要因によるものであり、2015年12月の利上げから1年後にさらに円安?

金利を見れば投資はうまくいく
堀井 正孝
クロスメディア・パブリッシング(インプレス) (2016-01-22)