2017年5月14日日曜日

『ビジネスブロックチェーン』

  • 第1章 ブロックチェーンとは何か
  • 第2章 ブロックチェーンと信用
  • 第3章 障壁、難問、心の壁
  • 第4章 金融サービスにおけるブロックチェーン
  • 第5章 ブロックチェーンがあらゆる産業にもたらす構造改革
  • 第6章 ブロックチェーン技術の実装
  • 第7章 分散化がもたらす未来
第1章 ブロックチェーンとは何か
  • ブロックチェーンは、ワールドワイドウェブ同様にインターネット上部に構築されたレイヤーである。
  • ブロックチェーンには、技術・ビジネス・正当性の側面がある。
  • 「暗号化された証拠」はユーザー間の取引の正当性と完了を確認する際に利用される、信用における手法である。
  • ブロックチェーンは、既存の仲介機関の役割を再定義(仲介機関が変化を受け入れる前提だが)する一方で、仲介機関の役割を果たす新たな存在を生みだす。そのため、従来の価値の境界線を乱す。
  • ブロックチェーンには10の特徴があり、それらをすべて包括的に理解しなければならない。
ブロックチェーンの力 = 技術 + ビジネス + 正当性
技術 オープンに閲覧可能な分散型台帳を保持するデータベース
ビジネス ユーザのコンピュータ間で価値を移動させる交換ネットワーク
正当性 仲介機関を必要としない取引検証基盤

10の特徴
  1. 暗号化
  2. コンピューティング・インフラ
  3. 取引プラットフォーム
  4. 分散型データベース
  5. 分散型会計帳簿台帳
  6. 開発プラットフォーム
  7. オープンソース・ソフトウェア
  8. 金融市場
  9. ピア・ツー・ピア・ネットワーク
  10. 信用を担保するサービス・レイヤー

ブロックチェーンの位置づけ
  • インターネットの上部に位置する新たなプロトコルであり、ワールドワイドウェブと同等の存在。
ワールドワイドウェブ ブロックチェーン
インターネット

ブロックチェーンの
ハイブリッド型アプリ
ウェブアプリ          ブロックチェーンの
ネイティブ型アプリ
ワールドワイドウェブ ブロックチェーン
インターネット

ブロックチェーンの
ハイブリッド型
プライベートアプリ
ブロックチェーンの
プライベート型
ネイティブアプリ
プライベートアプリ ブロックチェーン
プライベート・ネットワーク
ブロックチェーン = ゲーム理論 + 暗号化技術 + ソフトウェア・エンジニアリング
ゲーム理論 ビザンチン将軍問題
暗号化技術 ハッシュ化、キー、デジタル署名
ソフトウェア・エンジニアリング
データベース vs ブロックチェーン
データベース ○銀行が、預金データが格納されているDBを所有する。
○銀行は、口座にアクセスしているという錯覚を預金者に与えている。
○「銀行に口座を開設する」=「口座に対する権限を銀行に譲渡する」
○銀行をまたがる送金には国際銀行間金融通信協会(SWIFT)が介入。
ブロックチェーン ○送金は、ユーザのウォレットからウォレットへ。
第2章 ブロックチェーンと信用
  • ブロックチェーンは取引に必要不可欠な信用を与えられる。人間にしかできないという偏見を捨て、コンピュータでも行えるという事実を受け入れなければならない。
  • 個人情報と評価を共有し、透明性を高めることによって信用を得ることは可能である。
  • ブロックチェーンはそこで何かが起きたことを証明でき、その証明数はGoogleでの検索数に匹敵するほどになるだろう。
  • ブロックチェーンにおける匿名性・個人情報・分散型データ・セキュリティに関わる問題は、今後解決されていくだろう。
  • スマートコントラクトとスマートプロパティはブロックチェーンの根幹をなすものなので、さまざまなアプリケーションとビジネスの可能性を創出する。
    開発者はブロックチェーン内部の要素を知らなくても、スマートコントラクトを基盤としたアプリケーションを積極的に開発するようになるだろう。
ブロックチェーンがもたらす恩恵
コスト削減 直接的または間接的に影響を与える。
スピードアップ 遅延をなくす。
透明化 しかるべき人々にしかるべき情報を提供する。
プライバシーの向上 きめ細かい管理で消費者とビジネスを守る。
リスクの軽減 可視性が向上して詐欺や不正が減少する。
公平なアクセス 公平さを高める。
生産性の向上 作業出力が増える。
効率の向上 処理と報告が速くなる。
品質の向上 誤りが減り、顧客満足度が上がる。
行政機を上げる 増益と成長をもたらす。

ブロックチェーンの基本機能
スマートプロパティ ○ブロックチェーンとリンクすることにより、二重支払い・二重所有・二重送信が絶対に発生しない、資産。
○「資産」はデジタル資産(楽曲・電子書籍・画像・映像など)だけではなく、実体のある製品もスマートプロパティとなり得る。
タイムスタンプ ○個別の活動が生じた時間をブロックチェーン上に永続的に記録する基本機能。
マルチ・シグネチャー 取引の決済や承認などで複数の署名が求められるプロセス。
スマートコントラクト デジタルな手段を使って、実在する価値の高い資産を管理し、合意内容を履行しないと金銭的損失を与えるという機能。

第3章 障壁、難問、心の壁
  • ブロックチェーンが直面する問題は多いが、インターネット登録時と同様のやり方で解消されるだろう。1997年、インターネットの障壁はひとつずつ打破され、なかには自然消滅したものもあった。
  • ブロックチェーンが発展する上で解決すべき問題とは、技術・行動・教育・ビジネス・市場・法律/規制に関するものである。
  • もっとも重大な問題とは、{技術面:拡張性}{ビジネス面:イノベーション}{行動面:ネットワークに対する信用}{法律面:規制}である。
  • 今後、ブロックチェーンはニーズにこたえて急速に広まっていく。登場から30年以上たっても拡張し続けているインターネットのように、ブロックチェーンもニーズを満たし続けていくだろう。
  • 現在の自動車の安全規制は発明当時は考えつかなかったものにまで及び、なおも新たな規制が追加され続けている。同様にブロックチェーンの規制案件も延々と更新され続けるはずだ。
第4章 金融サービスにおけるブロックチェーン
  • 金融サービス機関がブロックチェーンを完全に受け入れているかどうか、常に問わなければならない。実際のところ新しい技術に接した場合、彼らはまず好きなものだけ選び、嫌いなものは無視する傾向にある。
  • グローバルバンクやグローバル暗号通貨取引所はすぐには登場しないだろうが、心構えと態度は備えておくべきだろう。それにはブロックチェーンが役立つ。
  • 金融サービス業は、規制当局がブロックチェーンに新たな規制をかけたり、既存の規制を強化してブロックチェーンがもたらすイノベーションに課したりする事態を阻止しなければならない。
  • 仲介機関を置かない取引の実行が試金石となる。身元証明と取引相手の認証はブロックチェーン上でピア・ツー・ピア的に行うことが可能だ。金融機関はこの手法をよく理解しなければならない。
  • 金融機関は戦略的判断を迫られている。新しいビジネスの場に進出するだけで満足してはいけない。そこで大躍進するかどうかの大胆な判断も求められている。


グローバルバンクが存在しない理由
  • 世界各国で、おそろしく高い規制のハードルが立ちはだかっているから。
  • PayPalは、国境を超えた唯一グローバルと呼べる金融サービス企業。
  • ブロックチェーン自体が、国際銀行間通信協会(SWIFT)のような役割を果たすようになる。
第5章 ブロックチェーンがあらゆる産業にもたらす構造改革
  • 各種産業や政府・行政機関にまで浸透しないと、ブロックチェーンが与える影響の全貌は把握できない。
  • ブロックチェーンは既存の仲介機関の機能を少しずつ切り崩しながら、新しい仲介機能を生み出す。
  • 近い将来、Google検索のように簡単な「プルーフ・オブ・エブリシング」が可能になる。
  • 金融サービス以外にも、政府/行政機関・ヘルスケア・エネルギー産業でブロックチェーンを基盤とするイノベーションが増えるだろう。
  • 分散型自律組織(DAO)はブロックチェーンの重要な事例だが、実質的には初期段階にある。
分散型自律組織(DAO: Decentralized Autonomous Organization)
  • 人間の手を介さず、公正なビジネスルールに基づく管理によって運営される組織。
第6章 ブロックチェーン技術の実装
  • 組織内でのブロックチェーン戦略の管理には、強調努力とリーダーシップを必要とする。
  • 「ブロックチェーン・ツァー」は、大きな組織において個別の取り組みを立ち上げ、強調させるのに有益な存在である。
  • ブロックチェーンの実装には多くの新しい構造的・機能的な構成要素が必要であり、それぞれを調和して機能させなければならない。
  • 各企業は、それぞれの能力と外部協力先のタイプに応じてブロックチェーンの実装方法を選択する必要がある。
  • ブロックチェーンを問題解決の技術だと判定するべきではない。むしろ、イノベーションをもたらし、機会の創出を狙うことを可能にするものである。
第7章 分散化がもたらす未来
  • ブロックチェーンは企業のためだけに存在するものではない。分散化を可能にし、最終的にはウェブ経済に似た、暗号通貨を基盤とした新しい経済を創造する。
  • 中央集権型サービスを分散型に変えることは難しい。ゼロから目指す方がむしろ簡単だ。
  • 暗号通貨経済を支える市場はいくつも現れるだろう。それらの市場では独自の富と経済システムが構築され、市場に参加する人間は新たな取引の機会を生み出す価値をもたらすことで、報酬が与えられる。
  • ブロックチェーンは新しい価値フローをもたらす。グローバルな暗号通貨経済を形成し、暗号通貨世界と現実世界との間で価値交換が可能な大規模な市場機会を創出する。
  • ブロックチェーン技術が経済に浸透し、新しいプレイヤーが生まれる一方で、存在が脅かされる場合もある。既存の組織が生き残るためには変化を余儀なくされるだろう。

ノート

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